欧州議会の環境・食品安全・欧州衛生(ENVI)委員会は12日、昨年11月に示された自動車排ガスの新基準案「ユーロ7」の2つの規則案を否決した。規則案配しを提案したアレクサンドル・ヴォンドラ氏が所属するECR(欧州保守改革グループ)のほか中道右派で議会第1党のPPE(欧州人民党グループ)などが提案を支持し、賛成多数で廃案を決めた。新たに導入されるブレーキやタイヤの摩耗粒子制限などはそのまま認められる見通しだ。
ユーロ7は、小型車と大型車の型式承認において個別の試験要件などを簡素化する一方で、タイヤやブレーキから放出される粒子が環境へ悪影響を及ぼすマイクロプラスチックの最大の発生源であることからその測定・管理を求めている。このうち小型車と大型車の排ガステストを規定する「規則715/2007」と「595/2009」について、ECRのアレクサンドル・ヴォンドラ議員が廃案を提案。12日午前(現地時間)の委員会で議会第1党のPPEや右派のID(アイデンティティと民主主義)も賛成に加わり52対32で提案を可決、廃案を決めた。一方、議会第2党のS&D(社会民主推進同盟)は反対票を投じた。
この欧州議会委の議決を受けて、欧州自動車工業会(ACEA)はコメントを発表し、シグリッド デ フリース事務局長は「環境委員会(ENVI)の採決は、欧州委員会の提案よりは改善されているが、重要な点ではまだ不十分である」と述べ、一定の歓迎を示した。また、欧州自動車部品工業会(CLEPA)のベンジャミン・クリーガー事務局長が「実施が遅れた弱いユーロ7は、よりクリーンな空気をサポートすることも、EUの技術革新を刺激することもない。より野心的なユーロ7の技術は存在し、経済的にも実現可能だ。欧州は、汚染物質排出に関して野心的な目標を掲げている中国や米国に遅れをとるべきではない」との見解を示した。
ユーロ7は今回のENVI委員会の採決を経て、来月の欧州議会本会議で正式に決める。今後、欧州委員会と欧州議会、欧州理事会の3者間交渉が本格化し、ユーロ7への取り扱いが決まる見通しだ。