ルノー・グループは29日、電気自動車(BEV)事業専門会社の「アンペア」の株式公開(IPO)を中止する、と発表した。現在の株式市場ではアンペアの適正な評価につながらない、と判断したという。アンペアは2023年11月に設立され、米半導体大手のクアルコムやグループの日産自動車、三菱自動車工業も出資しを決定。今年上半期にも株式公開予定だった。
ルノー・グループは今回のアンペア株式公開中止を「2022年にIPOを進める意向を表明していたが、株主やアンペアにとって最善の利益となるIPOプロセスを最適に進めるためには、現在の株式市場の状況は満たされていないと考えている」とコメントした。ルノー・グループは前期業績が大きく改善するなど、アンペアを含めグループの事業展開を賄うための持続可能なキャッシュフローがある、とした。
合わせて、ルノーはアンペアが2031年までに7車種のBEVを100万台販売する計画のもと、生産コストを1世代で40%削減するロードマップを示した。ソフトウェアとAIソリューション(OpenR Link、Reno Avatar、Software-Defined-Vehicleなど)で差別化を図っていく考えだ。同社ではアンペアが2025年にも事業損益分岐点に達すると見込んでおり、それまでは開発資金提供を続けると表明した。
アンペアは欧州初のBEVとソフトウェアの専門プレーヤーとして昨年11月に発足した。現在、フランス国内のグループ11拠点のうち、 ドゥエ工場とモーブージュ工場、ルイツ工場を含むエレクトリシティ工場、クレオン工場の4拠点を運営している。従業員数は1万1千人を超える。(2024年1月30日)