VWグループは4月1日付けで、「ニュー モビリティ」を担当した取締役会前メンバーのトーマス・ウルブリッヒ氏を中国グループの最高技術責任者(CTO)に任命した。ウルブリッヒ氏は「フォルクスワーゲン・チャイナ・テクノロジー・カンパニー(VCTC)」のCEOも兼任し、中国での電気自動車(BEV)事業展開を加速させるため現地での技術責任を明確化する狙い。
VWグループの “In China, for China “戦略を掲げ、中国でのBEV事業を強化する計画だ。VWグループ中国のラルフ・ブランドシュテッターCEOは、「中国の自動車産業で起きているダイナミックな変化に体系的に適応することが大切で、社内および中国地域との優れたコネクションを持つウルブリッヒ氏が一汽VWや上汽VW、VW安徽との連携をさらに強化することになる」と述べた。
VW中国はドイツ国外ではグループ最大の開発拠点で、VCTCは中国向けモデルの開発の中核を担っている。2026年には中国でVWグループのBEVプラットフォーム(MEB)を使ってBEV新商品を発売する予定で、VW乗用車ブランドの「ニューモビリティ」部門を技術開発(TE)に移管、統合する。
中国グループのCTOとなるトーマス・ウルブリッヒ氏は、ハンブルク応用科学大学で自動車工学を専攻。1992年に入社し、1996年中国の長春にある一汽VWのロジスティクス責任者に就任。その2年後には、ヴォルフスブルク工場のアッセンブリー「セグメントII」の責任者となり、1999年にはエムデンの工場ロジスティクスの責任者となった。その後、ヴォルフスブルクのAUTO 5000 GmbHに移り、2001年から2008年まで技術担当常務取締役兼経営委員会議長を務めた。2008年、ハノーバーのVW商用車の生産担当取締役に就任。2010年には、技術担当副社長として中国の上汽VWに移り、2014年4月から2018年1月までVWブランドの取締役会メンバーとして生産およびロジスティクスを担当した。2018年2月から2021年1月までは、Eモビリティを担当。2021年2月からは、VW乗用車の技術開発を担当するブランド経営委員会のメンバーに就いた。2022年10月1日付でVW乗用車に新設された「ニューモビリティ」取締役会の機能を引き継いだ。(2024年1月31日)