• 2024-05-18

「ポールスター4」、欧州とオーストラリアでも発売

ポールスターは1月31日、中国で生産するSUVクーペの電気自動車(BEV)「ポールスター4」を欧州とオーストラリアでも発売する、と発表した。2024年半ばから生産を始め、8月の納車を予定している。価格は6万3,200ユーロ(1,010万円)から。欧州では中国製BEVに対する規制論が熱を帯びているが、フランス政府が昨年末に公表した新たな補助金リストに「ポールスター4」は含まれていない。

「ポールスター4」は、吉利控股の「プレミアム・サステイナブル・エクスペリエンス・アーキテクチャー(SEA)」をベースに開発したDセグメントSUVモデルで、全長は4,840mmで全幅2,139mm、全高は1,534mmとなる。2,999mmの長いホイールベースが、ゆったりとした室内空間を実現し、とくにリアスペースは電動リクライニングシートでくつろぎの空間を造り出した。

デザインも特長的で、リアウィンドウをなくす一方で、低いノーズや格納式ドアハンドル、フレームレスウィンドウのフラッシュグレージングなどにより空力特性を向上させた。ポールスターのデザイン責任者であるマキシミリアン・ミッソーニは、「ポールスター プリセプトでは、リアウィンドウを取り除き、安全上不可欠な役割を果たすリアヘッダーをさらに後方に押し出すことで、後席の乗員はユニークな体験をすることができる」と話す。

内装材には、100%リサイクルPETによる「テーラード・ニット・テキスタイル」と、生物由来の「マイクロテック・ビニール」、スコットランドの農場で生産したBridge of Weirのトレース・レザーを使用した。また、フロアカーペットは漁網を再生したECONYLを使用し、ドアトリム・パネルにはNFPP(天然繊維ポリプロピレン)が採用した。これらにより、バージン・プラスチックの使用量を最大50%削減し重量を最大40%軽量化したという。

パワーモードは、「デュアルモーター・バリアント」と「シングルモーター・バリアント」の両方が用意され、シングルモーターは後輪駆動となる。0-100km/h加速はわずか3.8秒で、最高出力は400kW(544ps)を誇る。ロングレンジ・デュアル・モーターは、400kW(544ps)、686Nmを発揮し、WLTPの航続距離は最大580kmという。さらに、ロングレンジ・シングルモーター・バージョンではリアに200kW(272ps)、343Nmのモーターを搭載、同じくWLTPで最大610kmの航続距離を示している。両バージョンとも最大200kWのDC充電と22kWのAC充電が可能で、後日、V2L(Vehicle-to-Load)機能が利用できる。ホイールサイズは20インチから22インチで、タイヤはピレリとミシュランが供給する。

新たなパートナーシップにより、モービルアイ社のスーパービジョン先進運転支援システムなど、インテリジェントな安全技術が前面に押し出されている。合計12個のカメラ、1個のレーダー、12個の超音波センサーを標準装備。また、オプションのパイロット・パックで車線変更アシスト機能付きも用意する。ポールスター 4は同社で最も低いカーボンフットプリントという。中国・杭州湾にある吉利ホールディングスのSEA工場で生産し、I-REC水力発電証明書を取得したグリーン電力と工場の屋根からの太陽光発電を用いている。水力発電の電力を使用する製錬所からの低炭素アルミニウムの使用率が高まれば、さらにカーボンフットプリントで気候への影響を減らすことができるとしている。ポールスター4・ロングレンジ・シングルモーターのカーボンフットプリントは19.9 tCO2eという。

欧州とオーストラリアでの発売の後、2024年上半期中にアジア太平洋地域と中東で、米国と韓国では2024年半ばに販売を始める予定だ。ポールスター4は吉利の杭州湾工場で生産するほか、ルノーコーリアの釜山工場で北米・韓国向けを、また米サウスカロライナのボルボ工場でも北米向けに生産する計画だ。(2024年1月31日)