• 2024-05-04

欧州の自動車部品メーカー、利益率縮小の中でかつてない不確実性に直面:CLEPAとマッキンゼー調べ

欧州自動車部品工業会(CLEPA)とマッキンゼー・アンド・カンパニーは16日、欧州の自動車部品業界を対象に実施している業況調査を発表した。これによると、多くが先行きの業況不安を指摘しサプライヤーの65%が収益源が続くと予想している、という。

同調査は年2回、自動車部品業界における事業環境や動向、現在の課題などを聞き取りしたもので、130を超える回答を得た。これによると、①不透明感が蔓延していることから、サプライヤーの42%がネガティブな見通しを示し、業界全体のセンチメント(業況見通し)が低下していることを示している②サプライヤーの65%が低収益が続くと予想しており、約4分の1が損益分岐点か赤字に直面すると予想している③中国での事業成長について緩やかな見通しが示され、サプライヤーの31%がこの市場からの将来的な事業のかなりのシェアを見込んでいる④深刻化する課題に対応するため、サプライヤーは製品開発サイクルを加速させながら、研究開発を含む投資の最適化を模索しているーだった。

欧州の自動車部品会社は、域内の新規プロジェクトや電気自動車(BEV)需要への不透明さに加えて、自動車メーカーからのコスト削減圧力などを理由に、景況感の悪化を危惧している。このため、サプライヤーの25%が収益性の限界かマイナスの水準になると予想し、収益性が5%を上回ると予想しているのは37%にとどまった。なかでも、2024年の売上高は47%のサプライヤーが増加を見込んでいる半面で、31%の事業者は減少すると回答した。

なかでも、自動車メーカーからの厳しい価格交渉について、回答したサプライヤーの74%が最も差し迫った経営上の課題として「OEMからの補償が不十分」であることを挙げた。次いで、「需要の減少」(52%)、「サプライチェーンの混乱」(24%)、「他業種への移行」(20%)との答えがあった。

CLEPAのベンジャミン・クリーガー事務局長は、「欧州のサプライヤーの半数以上が、生産コストがEUの競争力を低下させていると懸念しており、また同業界の65%、投資を維持するのに十分でない収益性レベルで操業している」と述べ、同業界の懸念を強調している。半年前の調査と比べ、この2つの面での業況分析は悪化し、EUの競争力強化の必要性を浮き彫りにしている、と指摘した。(2024年4月16日)