• 2024-05-18

”次はBEV”が半数以上。メルセデス・ベンツ調査「自動車・金融サービスの世界動向2024」

メルセデス・ベンツは、消費者の自動車に対する購買性向を調べた「自動車・金融サービスの世界動向2024」をまとめ発表した。これによると、7割以上がオンラインでの契約を望み、半数以上が電気自動車(BEV)購入を検討している、という。

メルセデス・ベンツ・モビリティは、市場調査会社のカンターに委託し、ドイツと米国、中国で2023年12月から2024年1月に計2,515人の消費者にオンラインで調査した。これによると、 70%以上の消費者がオンラインで自動車の購入契約を結ぶ、と答えた。その購入プロセスでは、自動車メーカーのウェブサイトなどのオンライン・タッチポイントを、ディーラーと同様に重要な情報源であると考えているのが分かった。2022年調査と比べると、メーカーのウェブサイトを重要だと思っている割合はドイツで56%、米国で76%、中国で85%だった。回答者の多くが、ローンやリース契約(71%)、サブスクリプション購入(67%)、直販(67%)を想定している。とくに、中国ではオンラインでローリース契約契約(81%)、サブスクリプション購入(85%)への意欲が高かった。同時に、一貫して相談に応える担当者がいれば、オンラインでの契約意欲はさらに高まるとし、ローンなど金融商品では45%、直販では37%と高い。

BEV購入に対して、回答者の半数以上(53%)が「次の自動車」として検討しているのが分かった。なかでも中国では今後5年以内のBEVを購入しようと考えている消費者は80%と最も高く、ドイツ(39%)と米国(38%)で約4割の消費者に、BEVは有力な商品となっている。同時に、回答者の3分の1以上が、今後5年以内にプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)の購入を考えている(全体:35%、ドイツ:32%、アメリカ:29%、中国:43%)。現在乗っている車の車種セグメントが高いほど、消費者はBEVを選ぶ可能性が高い結果も浮き彫りになったという。また、平均年齢38歳の若い回答者は他の年齢層よりもBEVの購入を検討する可能性が高い傾向も分かった。(ドイツ:45%、アメリカ:40%、中国:34%)。しかし、一方で今後5年間は調査した3カ国すべてで、回答者の4割がガソリンエンジンを使用するとも答えた(ドイツ:47%、アメリカ:43%、中国:39%)。

BEVを新たに購入する主な理由として、「環境への好影響」(35%)と「既存の充電オプション」(31%)をあげた。すでにBEVを所有している人は、「環境面」(世界全体で50%)のほか米国では「車の性能」(48%)と「デザイン」(38%)を重視しており、中国では「車の技術」(51%)が最も重視している理由だった。ドイツでは、電気自動車ドライバーの45%が「静かなドライブ」も重要視している。

一方、回答者のBEV購入に対する懸念は、「価格」(ドイツ:45%、米国:33%、中国:21%)と「航続距離」(ドイツ:43%、米国:27%、中国:40%)が課題視している。また米国では、「バッテリー寿命」とそれに伴う交換費用を懸念する人は3割にのぼった。裏腹に、「バッテリー交換費用」と「バッテリー寿命」(ともに37%)に関する情報提供を期待する声があった。

自動車の金融商品への注目が高いのも分かった。BEVを購入する場合、過半数(53%)の回答者が金融商品(ローン、リース、サブスク)を選択するとした。その割合はドイツで63%、米国で64%、中国で44%だった。これはガソリンエンジン車などICEでも同様で、ドイツでの53%や米国で65%、中国は34%だった。いずれのパワートレーンでもメーカー独自の金融サービス・プロバイダーが好まれている(BEV:71%、ICE:69%)のが分かる。

回答者のほぼ3分の2(62%)が、ローンなどの金融商品がブランド・ロイヤルティにおいて重要な役割を果たしているとみられる。なかでお、中国では強い影響を及ぼしている(ドイツ:55%、米国:62%、中国:81%)。リースやローンで購入すると、より充実した装備(73%)や新車(73%)を選ぶ傾向が強まっている。中国の86%が追加サービスを選ぶという。

公共の充電インフラ整備は、BEV普及には不可欠なのも明確になった。現在、ドイツでは家庭で充電できる人は回答者の半数(52%)にとどまっている。希望する充電場所としては、すべての国で回答者のほぼ半数(47%)が自宅をあげた。一方で、全体としては回答者の半数以上(53%)が、急速充電が可能な公共設備を中心にしていくべきとの考えを示した。ドイツでは63%、米国は47%、中国が52%だった。その充電ステーションで重視する点として、ドイツの6割の人が「充電コスト」(59%)をあげた(米国:38%、中国:35%)。中国では、「グリーンエネルギーによる充電」(39%)を重視し、さらに仮眠ができるなど「リラックスできる可能性」(38%)を求める声もあった。

車内から商品やサービスの代金を支払う「車内決済」への開放度は、2022年と比べてすべての市場で高まっている。全体では、調査参加者の53%が車内決済を「非常に利用する可能性が高い」または「必ず利用する」と回答した(53%対2022年の33%)。一方、地域別では米国で最も増加し、車を決済手段として使用することを想像できる回答者が2倍以上となった(2022年の27%に対して63%)。(2024年5月4日)