独フォルクスワーゲン(VW)グループが1日に発表した2024年上半期(1~6月)決算は、高価格帯モデルの販売不振が響き営業収益は前年同期比1.6%増とプラス伸長したものの、営業利益は同11.4%減の100億5,200万ユーロ(1兆7,362億円)にとどまった。オリバー・ブルーメCEOは中国事業の再構築と注力するソフトウェア戦略で経営基盤の強化を加速させる考えを強調した。
営業利益率は1ポイント減の6.3%に
営業収益は前年同期比1.6%増の1,588億ユーロ(27兆4,295億円)と増えた一方で、営業利益は1,300億ユーロ近く落ち込んだ。このうち自動車事業は同0.9%減の1,293億6,500万ユーロ(22兆1,724億円)と実績割れした。新車販売が同2.4%減の434万1千台、なかでも乗用車販売が同2.3%減の418万台と伸び悩んだのが響いた。営業利益のうち自動車部門は同5.3%減の86億3,600万ユーロ(1兆4,916億円)となった。全体の営業利益率は6.3%と、前年同期の7.3%から1ポイント下がった。
VW商用車や「セアト」は販売好調
期中の新車販売台数のうち、VWなど中核ブランドは同1.8%増の249万4千台を販売し、営業収益も690億5,100万ユーロ(1兆1,927億円)と前年同期に比べ0.4%増とわずかながらも増収となった。傘下のスペインのセアトや商用車販売が伸び、けん引した。高価格モデルは商品の端境期も重なり販売減を強いられ、減収減益に見舞われた。アウディなど「プログレッシブ」ブランドは販売台数で同17.7%減の53万9千台に大きく減らし、「スポーツ・ラグジュアリー」と区分するポルシェも同11.1%減の15万2千台にとどまり、いずれも営業利益は同42%減、同20.5%減と落とした。また、電気自動車(BEV)販売は中国で同45.2%増の9万台を記録しながらも全体では同1.4%減の31万7,200台に減少した。
VWグループは今年4月、事業再編のため希望退職を募っており、そのリストラ費用として10億ユーロ(1,720億円)を計上している。(2024年8月2日)