
独ポルシェは24日、アラブ首長国連邦ドバイで開催されたブランドイベント「Icons of Porsche」で、新型電気SUV『カイエン・エレクトリック』を一般公開した。来場者は3万人超となり、イベントとして過去最大規模だった。
EV化と高級仕様の拡大で競争力強化
カイエン・エレクトリックは最大出力1,156PSを発生し、ブランドの電動化戦略を象徴するモデルとなる。内外装は大型曲面ディスプレイを含む新デザインを採用し、ボディカラー13種、インテリア12種など、選択可能な仕様を大幅に拡大した。ポルシェはパーソナライゼーション領域を収益拡大の核と位置づけ、EV時代でもブランド単価維持を図る。市場では、メルセデス・ベンツやBMWなどが同様の高単価型EV戦略を進めており、高級EVセグメントの競争が加速する見通しだ。
今回の展示では、2009年製カイエンGTSを工場基準で再製造する「Factory Re-Commission」プロジェクト第1号車も公開。塗装色「Black Olive」や往年のPasha生地などを採用し、オリジナル要素を現代仕様で再構築した。中古車価値の維持や既存オーナーの囲い込みを狙う動きで、高年式SUVを含むブランド資産戦略を強化する意図がありそうだ。
高性能モデル群と合わせ“ブランドの幅”を提示
会場では電動SUV「マカン GTS」やレーシング仕様「911 GT3 Manthey Kit」など複数の新型車も公開。Manthey仕様の911 GT3はニュルブルクリンク北コースで従来比2.8秒短縮を記録し、ポルシェが性能領域での優位性を維持していることを強調した。ポルシェは投入時期や価格を明らかにしていないものの、中東市場を皮切りに欧州・北米へ展開するとみられる。高級SUVとEV市場が重なる戦略領域で競合が拡大する中、同モデルが収益成長にどれだけ寄与するかが注目される。(2025年11月25日)