ゼネラル・モーターズ(GM)は30日、2023年業績を発表し売上高は前年比9.6%増の1,718億4,200万ドル(25兆3,501億円)、営業利益は同1.9%増の101億2,700万ドル(1兆4,939億円)だった。北米市場での販売が好調だった一方で中国では販売減に見舞われるとともに、電気自動車(BEV)販売の苦戦で17億ドル(2,507億円)の在庫引き当てを強いられ収益を圧迫した。2024年の業績見通しでは、地元・北米での販売が堅調に推移するとしEBIT(利払い・税引き前利益)で120億~140億ドル(1兆7,702億~2兆652億円、2023年実績124億ドル)と見込む。GMは2024年から四半期配当を33%増額することも合わせて発表した。
2023年の新車販売台数は618万8千台で、前年に比べ4.2%伸びた。北米で同14%増の305万5千台と2ケタ増となった。主力のトラック販売が好調だったほか、クロスオーバーと呼ぶ小型SUVクラス車が米国で100万台以上の販売を示した。一方、UAWストライキの影響で9万5千台の生産減を強いられると同時に、注力するBEV販売が思うように伸ばせず、17億ドルもの在庫引当金を計上した。GMは経費削減プロジェクトを展開しており10億ドル(1,475億円)のコスト低減を図ったものの、自動運転プロジェクトの「クルーズ」の経費負担増も加わり、収益力を下げた。
2024年はICEとBEVをバランス
2024年の業績見通しはEBITで120億~140億ドルとし、引き続き固定費削減に注力し20億ドルの低減をめざす。ICE(内燃機関)モデルとBEVモデルをフレキシブルに投入する商品戦略を推し進める考えで、急速なBEVシフトを修正する。しかし、米国でのBEV市場は2023年の7%シェアから「少なくてとも10%に上昇する」と指摘し、米国初となるバッテリーセルの第2工場をこの2024年第1四半期までに立ち上げフル生産体制とするほか、キャデラック「セレスティーク」を完全BEV化するなどBEV事業体制の整備に取り組む方針だ。シボレー・エクイノックスEVとシルバラードEV RST、GMCシエラEVデナリ、キャデラック・エスカレードIQが年内に発売する予定だ。
GMは「2024年型シボレー・トラバースや2025年型シボレー・エクイノックスのような新型車で、ICEポートフォリオで勝ち残っているチャンスを最大限に生かしながらEV事業を収益性の高いものに成長させ、高い利益率とキャッシュフローを実現し、そしてクルーズを再始動させる」と話した。
なお、2023年第4四半期業績は、売上高が前年同期比0.3%減の429億8,000万ドル(6兆3,404億円)、営業利益は同5.1%増の21億200万ドル(3,100億円)で、売上高営業利益率は4.9%に前年同期の4.6%から改善したものの、通期の収益力を押し下げた。(2024年1月30日)