• 2026-04-19

【外電】米政権、戦時体制で自動車メーカー動員 兵器生産拡大へ

米トランプ政権が、自動車メーカーを含む米製造業に対し、第二次世界大戦期を想起させる規模での兵器生産拡大を要請していることが明らかになった。国防総省高官が複数企業と協議を進めており、民生工業の軍需転用が現実味を帯びてきた。

米FOXビジネスによると、国防当局はゼネラルモーターズやフォード・モーターなどの経営陣と接触し、弾薬や戦術装備の増産に向けた協力の可能性を探っている。加えて、GEエアロスペースやオシュコシュとも会談が行われ、サプライチェーン全体の動員を視野に入れる。

背景には、ウクライナや中東情勢の緊迫化に伴う弾薬・装備不足への懸念がある。国防総省はミサイルや対ドローン技術などの生産能力を急速に引き上げる必要があると判断し、「商用技術の最大活用と量産体制の確立」を掲げる。約1.5兆ドル規模の国防予算にも、弾薬・ドローン生産の強化が盛り込まれた。

今回の動きは、自動車産業にとって単なる受注機会にとどまらない。完成車メーカーが保有する大量生産能力や品質管理体制、さらには電動化・ソフトウェア化で培った電子制御技術は、防衛分野との親和性が高い。とりわけ対ドローンや無人システムでは、自動車のセンサーや制御技術の転用余地が指摘される。

一方で、軍需転用には契約手続きや調達規制といった障壁も多い。国防当局は企業側に対し、参入に伴う課題の洗い出しを求めており、制度面の見直しも議論の俎上に載る見通しだ。

米政府が民間製造業の総動員を模索する構図は、第二次大戦期の「アーセナル・オブ・デモクラシー(民主主義の兵器廠)」を彷彿とさせる。もっとも、現代はグローバル供給網への依存度が高く、単純な国内回帰では完結しない。自動車産業にとっては、サプライチェーンのレジリエンス強化と地政学リスク対応を同時に迫る局面となる。

防衛需要の拡大が、電動化投資や生産能力配分にどのような影響を及ぼすか。米国発の「戦時体制」へのシフトは、世界の自動車産業の構造にも波紋を広げそうだ。(2026年4月17日)