大手コンサルティング会社のデロイトが世界26カ国で電気自動車(BEV)に対する消費者意識調査を行い、4つのトレンドが浮かび上がったと指摘した。
同調査は「2024自動車国際消費者意識調査」で、2023年9月から10月に世界の26カ国2万7千人以上の消費者を対象に、BEVへの関心やブランド認知、コネクテッド・テクノロジーの採用などに関する意識を調べた。これによると、①EVの勢いが鈍化しているため、現在の脱炭素化のスケジュールが危うくなっている可能性がある②かなりの数の消費者が自動車ブランドの乗り換えを考えている可能性がある③コネクティビティ機能への関心は、収益や利益に完全には結びつかない可能性がある④若い消費者は自動車サブスクリプションに関心を持っており、今後自動車を所有する必要があるかどうかを疑問視する消費者が増えているーと4つのトレンドに注目している。
【トレンド1:自動車の電動化】一部の市場では、内燃機関(ICE)車に対する消費者の関心が回復しつつある。金利の高騰やステッカー価格の高騰により、BEVに対する消費者の関心が弱まっている可能性がある。自動車メーカーの値下げやより手頃な価格にするための政府の優遇措置にもかかわらず、航続距離への不安や充電時間、充電インフラの利用可能性など、さまざまな課題が立ちはだかり続けているという。
【トレンド2:将来の自動車購入意向】ドイツや日本、米国を含む先進国市場の消費者が自動車ブランドを選択する要因のトップは「価格」で、その他のグローバル市場の消費者は「車両性能」(中国、韓国)と「製品品質」(インド)を最重要視している。デロイトは、「市場によって異なるが、調査対象の消費者が次の自動車ブランドについて考える際に最も重視するのは価格と製品品質、性能のいずれかである」と指摘している。
【トレンド3:コネクティビティ】コネクテッド・カーに関心を持つ人は、メンテナンスや交通/道路の安全性、より安全なルートの提案などの最新情報を提供する機能への注目が高い。とはいえ、コネクテッド・テクノロジーに追加料金を支払う意欲は低いままだ。ただ、インドや中国、東南アジアなどの発展途上市場と、米国や日本、ドイツではその支払い意識の違いがみられた。支払い意欲度合い▸インド 71%、中国60%、東南アジア55%、韓国33%、アメリカ25%、日本23%、ドイツ20%。
【トレンド4:自動車サブスクリプション】不透明な経済情勢を背景に景気不安が高まる中、多くの市場で若い消費者の多くが車両の所有に完全に見切りをつけ、サブスクリプション・モデルへの関心を高めている。しかし、依然として車両の入手可能性や総所有コスト、月額料金が高いという認識に対する懸念は根強い。18~34歳の回答者でサブスクリプションモデルへの関心の割合(「非常に関心がある」/「ある程度関心がある」の合計割合)▸インド67%、中国47%、東南アジア46%、日本34%、ドイツ29%、米国28%、韓国26%。