
仏ルノーは23日、小型電気自動車(EV)「トゥインゴ E-Techエレクトリック」を発表した。中国の研究開発拠点を活用したグローバル開発体制により、開発期間を従来比で半減しコストも大幅に圧縮。販売価格を2万ユーロ未満に抑えつつ競争力を確保し、欧州で縮小が続くAセグメント(小型車)の再活性化を狙う。低コストEVの量産モデル確立に向けた新たな開発手法としても注目される。
縮小市場に再参入、低価格EVで需要掘り起こし
1992年に登場したトゥインゴは累計410万台以上を販売したが、現在Aセグメントは欧州市場の約5%に縮小している。もっとも、都市用途やセカンドカーとしての需要は根強く、供給側の撤退が市場縮小の主因とされる。ルノーはこれを「成長余地」と位置付け、電動化で再定義を狙う。

新型はリン酸鉄リチウム(LFP)電池を同社で初採用し、電池コストを従来比で約2割削減。航続距離は最大263km(WLTP)、消費電力量は12.2kWh/100kmと低水準に抑えた。出力60kWの軽量モーターと車重1.2トン級の設計により、市街地での機敏な走行性能を確保する。5ドア化や後席スライド機構など、実用性も強化した。
中国×欧州の分業で開発改革、100週間で量産へ
開発面では、仏テクノセンターと中国・上海の研究開発拠点を組み合わせた体制により、開発期間を約100週間と従来比で半減。部品点数の削減や設計プロセスの簡素化で投資額も圧縮した。生産はスロベニア工場で行い、欧州域内サプライチェーンを活用することで物流コストとCO₂排出の低減を図る。環境面では、車両ライフサイクル全体でのCO₂排出を内燃機関車比で約60%削減。低炭素鋼材の採用など素材面でも脱炭素を進めた。
低価格EVを軸に「欧州生産×中国開発」の新モデルを確立したルノーは、トゥインゴを今後の小型EV戦略の基準と位置付ける。価格と性能の両立が難しいとされてきたAセグメントにおいて、同車が再び市場活性化の起点となるかが注目される。(2026年3月23日)