• 2026-07-17

カリフォルニア州、初回EV購入に最大57万円補助 連邦支援縮小を独自策で補完

写真はカリフォルニア州

米カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は13日、ゼロエミッション車(ZEV)を初めて購入する州民を対象に、販売店で車両価格を即時割引する新制度を導入すると発表した。新車の電気自動車(EV)は3,500ドル(約57万円)、中古車は1,750ドル(約28万円)を助成する。連邦政府によるEV購入支援の縮小を受け、全米最大の自動車市場である同州が独自に需要を下支えする。

ニューサム知事が署名した州法「SB168」に基づき、「MyFirstEV」プログラムを今夏後半に始める。州政府の拠出額は1億3550万ドル(約220億円)。参加する自動車メーカーにも同額の負担を求め、総額約2億7000万ドル(約437億円)の購入支援を用意する。制度はカリフォルニア州で初めてZEVを購入する人を対象とする。新車はメーカー希望小売価格が5万ドル(約810万円)以下、中古車は販売価格が2万5000ドル(約405万円)以下の車両が対象となる。

従来の税額控除や申請後の補助金と異なり、購入者は販売店で車両価格から直接割引を受けられる。税還付を待つ必要がなく、購入時に必要な資金を抑えられることになる。州政府の拠出額と自動車メーカーの負担額を1対1で組み合わせる仕組みとし、公的資金だけでなくメーカー側にもEV普及の費用負担を求める。参加メーカーや対象車種などの詳細は、制度開始までに示される見通しだ。米国ではEVの車両価格がガソリン車より高いケースが多く、購入補助策の変更が販売動向を左右する。カリフォルニア州は購入時点で使える補助制度を設けることで、連邦レベルの支援後退による需要減少を抑える狙いがある。

MyFirstEVは、2026~27年度の州予算に盛り込まれた総額6億ドル(約972億円)のZEV関連投資の中核となる。このほか、地域の大気汚染対策を支援する「コミュニティ大気保護プログラム」に1億5000万ドル(約243億円)、電動トラック・バスの購入を支援するバウチャー制度に1億3550万ドル(約220億円)を充てる。

旧式の大型車や建設機械などを低公害型に更新する「カール・モイヤー・プログラム」には1億3000万ドル(約211億円)、低所得者の低公害車への買い替え支援には1980万ドル(約32億円)、オフロード機器の低公害化には3500万ドル(約57億円)を投じる。財源には、温暖化ガス排出枠の収入を活用する「キャップ・アンド・インベスト」制度や、スモッグ対策関連の手数料収入を充てる。

ニューサム知事は、トランプ政権によるEV支援策の縮小が、米国の自動車産業の競争力を損ない、中国メーカーを利するとの見方を示した。州政府は、購入支援と充電インフラ整備を継続し、EV関連の生産や雇用を州内に呼び込む構えだ。カリフォルニア州のZEV累計販売台数は2026年1月に250万台を超えた。州内には公共用と共同利用を合わせて20万口を超えるEV充電設備があり、住宅には推定80万口の充電器が設置されているという。州は2025~26年度にも、集合住宅などでの普通充電設備を中心に9,850万ドルを投じる計画だ。

州政府は5月、中・大型電動トラックを対象とする10億ドル規模の購入支援策も発表している。対象車両に応じ、1台当たり7500~12万ドルを補助するもの。カリフォルニア州は、連邦政府の政策とは距離を置きながら、乗用車から商用車、充電設備まで一体的に支援する。新制度がEV販売をどこまで押し上げるかに加え、自動車メーカーが州と同額の資金拠出にどの程度応じるかが焦点となる。(2026年7月16日)