
メルセデス・ベンツは15日、米充電サービス大手チャージポイントと共同で、ドイツの法人・フリート顧客向けに事業所内の充電インフラを一括提供する新サービスを始めたと発表した。乗用車、バンを問わず、あらゆる規模の企業を対象に、充電需要の分析から設備設計、施工、運用までを包括的に支援する。
設計から運用までを一元化
電動車の導入拡大に伴い、企業では自社拠点や車両基地における効率的な充電環境の整備が課題となっている。メルセデスは新サービスを、法人向け電動化戦略の重要な基盤と位置付ける。従来の公共充電や自宅充電に加え、事業所での充電を組み合わせることで、法人顧客の利用場面を網羅する体制を整える。
車両販売から周辺サービスへ事業領域拡大
新サービスでは、まず保有台数や車両の稼働状況、事業所の電力容量、環境目標などを分析し、各社に合わせた充電インフラを設計する。その後、交流(AC)と直流(DC)の充電器を設置し、稼働後の保守やサポートも提供する。利用可能な電力を車両ごとに最適配分するスマート負荷管理にも対応する。電力需要の集中を抑え、既存の受電設備を効率的に活用することで、大規模な電力設備増強を避けながら、車両を安定的に充電できるようにする。
太陽光発電設備や蓄電池との組み合わせも可能で、エネルギー価格や使用状況に応じて充電コストを抑える。将来的なフリート台数の増加や、事業所ごとの条件の違いにも柔軟に対応するという。メルセデスとチャージポイントは数年前から協業しており、これまでメルセデスの事業所や販売店などで約6000基の充電ポイントを稼働させてきた。今回のサービスでは、両社のノウハウを法人顧客向けに展開する。
メルセデス・ベンツ・チャージング・ソリューションズのニコ・デットマー責任者は「法人顧客は車両を超えた解決策を求めている。事業所充電を加えることで、フリート向け充電サービスの重要な空白を埋める」としている。チャージポイントのリック・ウィルマー最高経営責任者(CEO)は、事業要件に対応した充電設備の導入により「総保有コストを目に見える形で削減できる」と強調した。
法人EV化を総合支援
メルセデスは、公共充電サービス「MB.CHARGE Public」、自宅充電費用の精算サービス、今回の事業所充電を組み合わせ、ドイツの法人顧客向けに充電環境を一体的に提供する。自動車メーカー各社は、電動車の販売だけでなく、充電設備、エネルギー管理、決済を含む周辺サービスの囲い込みを進めている。企業の電動化では車両価格だけでなく、設備投資や電力費、運用効率を含む総保有コストが導入判断を左右する。メルセデスは充電事業を強化することで、法人向け電動車販売の拡大につなげる考えだ。(2026年7月16日)