• 2026-07-17

VW、新型EV「ID. Cross」を世界初公開 約475万円から、普及価格帯でEV攻勢を本格化

フォルクスワーゲン(VW)は15日、新型コンパクト電動SUV「ID. Cross」を世界初公開した。エントリー価格を2万7,995ユーロ(約475万円、1ユーロ=170円換算)に抑えながら、上級車並みの先進装備や快適性を備えた。中国メーカーとの競争が激化する欧州の普及価格帯EV市場で巻き返しを図る戦略車と位置づけ、VWの電動化戦略の中核を担うモデルとなる。ドイツでは発表と同時に受注を開始した。

「ID. Cross」は、EV専用プラットフォーム「MEB+」を採用した前輪駆動のコンパクトSUV。全長4,153mmの5人乗りで、37kWhと52kWhの2種類のバッテリー、85kW(116PS)、99kW(135PS)、155kW(211PS)の3種類のモーターを設定する。52kWh仕様ではWLTPモードで最大427kmの航続距離を実現し、急速充電では10%から80%まで約23~24分で充電できるという。

また、価格を抑えながら質感や装備を大幅に引き上げた点もポイントだ。室内にはファブリック仕上げのインパネや12.9インチの大型ディスプレーを採用。荷室容量は475リットルで、フロントには25リットルの収納スペース(フランク)も備え、実用性を高めた。上位グレードには、マッサージ機能付き電動シート、Harman Kardon製プレミアムオーディオ、アダプティブサスペンション(DCC)など、従来は上級モデルが中心だった装備も設定する。

オンライン情報を活用する運転支援システム「Connected Travel Assist」を採用。交通信号を認識して停止する機能をこの価格帯で初めて搭載したほか、スマートフォンによる遠隔駐車、360度カメラなども用意する。さらに、最大3.6kWの外部給電(Vehicle-to-Load)機能を標準装備。52kWh仕様では最大1,200kgの牽引能力も備え、小型キャンピングトレーラーなどの利用にも対応する。

VWブランドのトーマス・シェーファーCEOは「ID. Crossは、高い技術力、洗練されたデザイン、優れた実用性を高いコストパフォーマンスで提供するモデルであり、新たな成功物語の条件がそろっている」とコメントした。

VWは、小型ハッチバック「ID. Polo」とともにID. Crossを新世代の量販EVシリーズに位置づけている。高価格帯中心だったEVラインアップを普及価格帯へ拡大し、電動化の裾野を広げることで販売拡大をめざす考えだ。BYDをはじめとする中国勢との競争が激化する欧州市場で、価格競争力とブランド力の両立を図る試金石となりそうだ。(2026年7月16日)