
テスラが22日発表した2026年4〜6月期決算は、売上高が前年同期比26%増の282億3,600万ドル(約4兆6,590億円)となり、過去12カ月累計売上高が初めて1,000億ドル(約16兆5,000億円)を突破した。一方、AI(人工知能)やロボタクシー、人型ロボット「オプティマス」など次世代事業への積極投資が利益を圧迫し、営業利益は57%減の3億9,800万ドル(約657億円)、営業利益率は1.4%と前年同期の4.1%から大きく低下した。
過去12カ月で売上高初の1千億ドル超えに
同社は今年に入り、自動車販売の伸び悩みや価格競争の激化、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の政治活動を巡るブランドイメージ悪化などから市場の逆風に直面してきた。1〜3月期には販売が大きく落ち込んだが、4〜6月期は世界販売台数が48万126台と四半期最高を更新し、主力「モデル3」「モデルY」の販売が25%増加したことが業績回復を支えた。韓国、日本、オーストラリアなど複数市場で販売記録を更新したことも寄与した。
日本や韓国で販売記録を更新
もっとも、利益面では厳しさが残る。営業費用は47%増の43億5,300万ドル(約7,183億円)に膨らみ、設備投資額は57億8,900万ドル(約9,552億円)と前年同期比で約2.4倍に拡大した。この結果、フリーキャッシュフローは10億9,200万ドルの赤字(約1,802億円のマイナス)へ転落した。一方で営業キャッシュフローは46億9,700万ドル(約7,750億円)と85%増加しており、本業の資金創出力は維持している。現金・短期投資残高も435億2,400万ドル(約7兆1,815億円)を確保している。
投資の中心はAI関連だ。テキサス州ではAI学習用スーパーコンピューター「Cortex」を倍増させたほか、自社半導体工場やリチウム精製施設、4680電池工場への投資を進めている。経営陣は「現在はテスラ史上最大かつ最も重要な投資局面」と位置付け、短期利益よりも長期成長を優先する姿勢を鮮明にした。
ロボタクシーとAIが成長戦略の中核
事業戦略の軸は、自動運転サービスとAIへ急速に移りつつある。専用ロボタクシー「Cybercab」はテキサス工場で生産を開始。7月にはフロリダ州のマイアミ、オーランド、タンパで無人運行を開始し、オースティンでも運行エリアを拡大した。さらにサンフランシスコ湾岸では安全運転者同乗型サービスを展開するなど、商用展開を加速している。
運転支援システム「FSD(Full Self-Driving)」も普及が進み、有料契約数は148万件と前年同期比56%増加。北米では新車購入者の55%超がFSDサブスクリプションを選択したという。テスラは将来的に、車両販売だけでなくAIソフトウエアやロボタクシーサービスからの収益拡大を利益成長の柱に据える考えを示した。
エネルギー事業も成長維持
自動車以外ではエネルギー事業も堅調だった。蓄電池事業の売上高は13%増の31億3,900万ドル(約5,179億円)となり、蓄電容量は13.5GWhと41%増加。サービス事業も過去最高の利益率を記録し、売上高は50%増の45億8.100万ドル(約7,559億円)へ拡大した。EVメーカーからAI・エネルギー企業への事業構造転換が着実に進みつつあることを示した。
市場では、販売回復を評価する一方、AIやロボタクシーへの巨額投資が本格的な利益として回収される時期を見極める局面に入ったとの見方が強い。テスラは「ハードウエアの利益に加え、AI、ソフトウエア、フリート事業からの利益が時間とともに加速する」としており、短期的な収益性よりも長期的な企業価値創出を重視する姿勢を改めて打ち出した。(2026年7月23日)