• 2026-09-04

ポールスター、上期赤字43%縮小 米国撤退響き通期販売見通しを下方修正

スウェーデンの電気自動車(EV)メーカー、ポールスターは3日、2026年1~6月期の決算を発表した。売上高は前年同期比4%減の13億6,000万ドル(約2,206億円)にとどまったものの、営業損失は6億2,900万ドル(約1,020億円)と前年同期の10億9,600万ドル(約1,778億円)から43%縮小した。米国で2027年モデル以降の新車販売が事実上できなくなったことも響き、26年通期の販売台数見通しを従来の「10%台前半の増加」から「1ケタ桁台前半~半ばの増加」に引き下げた。

上期の世界販売台数は3万423台と前年同期比0.4%増えた。販売拠点の拡大や販売方式の見直し、「ポールスター4」の販売構成比上昇が寄与した。ただ、値下げ圧力や米国での残価保証関連費用、排出枠(カーボンクレジット)収入の減少などが売上高を押し下げた。最終損失は8億4,200万ドル(約1,366億円)で、前年同期の11億9,300万ドル(約1,935億円)から29%縮小した。営業損失の大幅な改善は、前年同期に7億2,400万ドル(約1,174億円)の減損損失を計上していた反動が大きい。減損などの影響を除いた調整後EBITDA(利払い・税引き・償却前損益)は5億2,100万ドル(約845億円)の赤字で、前年同期の3億200万ドル(約490億円)の赤字からむしろ悪化した。表面的な赤字縮小とは対照的に、本業の収益改善はなお途上にある。

4~6月期だけでみると、販売台数は前年同期比4%減の1万7,296台、売上高は8%減の7億2,700万ドル(約1,179億円)だった。最終損失は4億5,900万ドル(約744億円)と前年同期の10億2,700万ドル(約1,666億円)から55%縮小したものの、調整後EBITDAの赤字は2億8,600万ドル(約464億円)と前年同期の2億600万ドル(約334億円)から拡大した。価格競争の激化に加え、米国事業の再編費用が収益を圧迫した。

米国事業の不安定さは拭えていない。米商務省産業安全保障局(BIS)が6月、コネクテッドカー規制に基づき、ポールスターに2027年モデル以降の車両販売を認める認可を与えないと決定したからだ。ポールスターは既存在庫の旧年式車については販売を続けるものの、その後は米国での新車販売を停止する。事業は既存顧客へのサービスや保証対応などに絞る。これにより、米国事業は上期の営業損失を約2億1,100万ドル(約342億円)膨らませた格好だ。このうち約1億3,000万ドル(約211億円)はBISの決定に伴う残価保証、在庫評価、従業員や取引先に関連するリストラ費用などで、同社では今後も追加費用が発生するとみている。

ポールスターにとってこの米国問題は単なる一市場の販売不振とはいえない。中国・浙江吉利控股集団(ジーリー)を主要株主とし、中国を含むグループの生産・技術基盤を活用してきた同社にとって、米国のコネクテッドカー規制強化は事業モデルそのものに影響を及ぼすためだ。

一方で、欧州を中心とした販売基盤の拡大は進んでいる。6月末の販売拠点は235カ所と前年同期比38%増え、中国を除けば39%増となった。上期には24拠点を新設し、販売パートナーも178社まで増やした。資金面でもテコ入れを進める。上期には外部投資家から7億ドル(約1,135億円)を調達したほか、ジーリー・スウェーデンとボルボ・カーズがポールスター向け融資計約6億4,000万ドル(約1,038億円)を株式に転換した。ボルボ・カーズは残る6億6,000万ドル(約1,071億円)の株主融資について返済期限を28年12月から31年12月へ延長した。6月末の現金残高は8億8,800万ドル(約1,440億円)だった。

今後の焦点は商品展開だ。ポールスターは26年から3年間で4車種を投入する過去最大の商品拡充を計画している。韓国・釜山では「ポールスター4 SUV」の生産を拡大し、10~12月期に顧客への納車を始める予定だ。新型「ポールスター5」も近く納車を開始する予定だ。27年にはポールスター2の後継車を投入する計画だ。(2026年9月4日)