• 2026-08-26

コンチネンタル、再生材43%のタイヤ開発 EU循環規制を先取り

独コンチネンタルは25日、原材料の約43%に再生材を使ったコンセプトタイヤを開発したと発表した。欧州連合(EU)が支援する電気自動車(EV)の循環型プロジェクト「ZEvRA」の一環。再生可能原料やマスバランス認証材を含めると、全体の80%超を循環型・持続可能な原料で構成する。EUは製品の環境負荷を原料調達から廃棄・再資源化まで管理する政策を強めており、タイヤも重点対象としている。現在タイヤに一定比率の再生材使用を義務づける規制はないものの、2027年にはタイヤを対象とした「持続可能な製品のためのエコデザイン規則(ESPR)」の製品別ルール策定が予定されており、コンチネンタルはEUの循環経済政策を先取りし、将来の規制強化に備える技術開発とみられる。

ZEvRAは「Zero Emission Electric Vehicles Enabled by Harmonized Circularity」の略称で、EVのバリューチェーン全体で資源循環を高めることを目的とするEU支援プロジェクト。2026年に終了する予定で、企業や研究機関など28のパートナーが参加する。コンチネンタルは唯一のタイヤメーカーとして加わっている。開発したタイヤでは、再生トール油や再生鋼材、使用済みタイヤから回収したゴム、使用済みPETボトル由来のポリエステル繊維などを採用した。

使用済みタイヤを熱分解する「パイロリシス」によって回収したカーボンブラック(rCB)も利用するもので、さらに鋳造工程などから発生する廃砂(rSand)をリサイクルし、タイヤに使うシリカの代替材料を製造する技術も取り入れた。タイヤはゴムのほかカーボンブラック、シリカ、鋼材、繊維など多くの材料を組み合わせる安全部品で、再生材の比率を高めながら耐久性や制動性能を確保する必要がある。今回のコンセプトタイヤは約43%を再生材としながら、EUタイヤラベルの転がり抵抗性能で最高評価を達成したという。再生材約43%に加え、再生可能原料が約13%、マスバランス認証材が約25%を占める。合わせて80%以上が再生材、再生可能原料またはマスバランス認証材となる。

コンチネンタルは2022年から一部の乗用車用タイヤにPETボトル由来の再生ポリエステルを使用している。2023年に投入した「UltraContact NXT」では再生材、再生可能原料、マスバランス認証材を合わせ最大65%まで高めた。2025年にはタイヤ生産用に購入した再生可能・再生原料の比率が28%に達した。2030年までに少なくとも40%に引き上げる方針だ。

今回の技術開発の背景には、EUが進める循環経済への政策転換がある。2024年に発効したESPRでは、製品の耐久性や資源効率、再生材、リサイクル性などをライフサイクル全体で改善するための包括的な制度で、欧州委員会は2025~2030年の作業計画でタイヤを優先製品の一つに指定した。また、欧州委員会は2027年にタイヤについて製品別の委任法を採択する方向で準備を進めている。具体的な環境性能要件に加え、製品の原材料や環境性能などの情報を電子的に管理する「デジタル・プロダクト・パスポート(DPP)」をタイヤにどのように適用するかも検討対象となる。現行の日程ではタイヤ向けESPR委任法は2027年第3~4四半期の採択が想定されている。

現段階でタイヤに「再生材を何%以上使用しなければならない」という具体的な義務化は未定だが、製品ごとの最終的な要求事項やDPPの適用内容は今後の委任法で決まる見通しだ。このため今回の再生材43%という数値は、EUが設定した規制値をクリアするためのものではないともいえる。

コンチネンタルも今回の発表で、リサイクル技術を産業規模へ拡大するには、再生材料についてEU域内で共通した定義を設けることや、加工された物質をどの段階から再生原料と認定するかといった明確な基準が必要だと指摘している。

EUによるタイヤの環境規制は資源循環だけではない。新たな排出ガス規制「Euro 7」では、エンジンからの排出ガスに加え、タイヤ摩耗によって発生する粒子も初めて規制対象となる。乗用車向けのC1タイヤでは、新しいタイヤモデルについて2028年7月1日から摩耗量の上限が適用され、2030年7月からはすべてのモデルが対象となる。トラックなどに使われるC2、C3タイヤにも段階的に適用する。EVは一般に大容量電池によって車両重量が増えやすく、モーターの大きな駆動トルクにも対応する必要があるといわれている。このためタイヤメーカーには低転がり抵抗による航続距離の確保だけでなく、耐摩耗性能との両立が求められている。そこにEUの資源循環政策が加わることで、タイヤメーカーは今後、「長持ちするタイヤ」と「再生材料を活用するタイヤ」を同時に実現するという課題に向き合う必要があるわけだ。(2026年8月26日)