• 2026-09-18

シャオミ初のEREV「スカイノマド」発売 20万元台、航続1705km

シャオミ初のEREV「スカイノマド」シリーズ

中国の小米(シャオミ)は7日、レンジエクステンダーEV(EREV)の新型SUV「スカイノマド(SkyNomad)」シリーズを中国で正式発売した。価格は20万9900元(約440万円)から。7月30日の発表、予約開始から約1カ月を経て販売段階に入り、先行生産した車両を1~5週間以内に納車する。これまでバッテリーEV(BEV)のみを販売してきたシャオミにとって初のEREVとなり、急成長する自動車事業の顧客層をファミリー市場へ広げる。

正式発売したのは5人乗りの「N70 Pro」「N70 Max」、7人乗りの「N90 Max」と、アウトドア用途を意識した5人乗りの「N90 Max Explorer」の4モデル。価格はN70 Proが20万9900元、N70 Maxが23万9900元、N90 Maxが26万9900元、N90 Max Explorerが29万9900元とした。N70 Maxは7月発表時の予約価格から2万元、N90 Maxは3万元引き下げた。中国で競争の激しい20万~30万元台のSUV市場で価格競争力を高めた。

シャオミEREV「スカイノマド」の製品画像

発売直後の受注は好調のようだ。現地報道によると、正式発売から4分で確定注文が1万台を超えた。シャオミは需要を見込み、発売前から一定数を先行生産している。予約段階では10万台を超えたとの現地報道もあり、今後はこうした潜在需要を実際の納車につなげられるかが焦点となる。スカイノマドはシャオミが新開発した「崑崙(Kunlun)」プラットフォームを採用する大型SUVシリーズ。7月30日に5人乗りのN70 Maxと7人乗りのN90 Maxを初公開し、予約を始めていた。ファミリー層を主な顧客に想定し、広い室内空間とフラットな床、用途に応じて変更できるシート配置などを特徴とする。

大型ファミリーSUV「スカイノマド」の製品画像

最大の特徴は、シャオミとして初めて発電用エンジンを搭載したEREVを採用したことだ。全車に1.5リットルのターボエンジンを発電用として搭載する。大容量電池を組み合わせ、上級のN70 Maxは中国CLTC基準で電池だけで最大505キロメートルを走行できる。N90 MaxはEV走行464キロメートル、充電と給油を合わせた総合航続距離は最大1705キロメートルに達する。N90 Maxは全長5285ミリ、全幅1998ミリ、ホイールベース3080ミリの大型車。3列7人乗りで、前・中列にはマッサージ機能を備える。シートやセンターコンソールを移動させて車内レイアウトを変更できるなど、移動手段だけでなく家族が過ごす「生活空間」としての商品性を強く打ち出した。7月発表時には最大1831リットルの荷室容量なども公表している。

今回の投入は、シャオミの自動車戦略にとって一つの転換点となる。シャオミは2024年にセダン「SU7」で自動車市場へ参入。その後SUV「YU7」を加えたが、いずれもBEVだった。EREVの追加によって、自宅での充電環境や長距離走行への不安からBEVを選びにくかった消費者にも販売対象を広げる。狙いの一つが、中国で競争の激しい大型ファミリーSUV市場だ。この分野では理想汽車(Li Auto)などがEREVを軸に市場を開拓してきた。シャオミは長いEV航続距離に加え、広い室内や車載AI、スマートフォン、家電などと連携する独自のエコシステムを持ち込む。さらに20万元台前半からの価格設定によって、既存のEREVメーカーに競争を仕掛ける。

ただ、EREV市場そのものは踊り場にある。中国乗用車市場情報聯席会(CPCA)によると、2026年1~7月のEREV小売販売は53万5000台と前年同期比15.35%減少した。BEVの航続距離が伸び、充電網も整備されるなか、EREV市場は拡大一辺倒からメーカーや商品の選別が進む局面に入りつつある。そうしたタイミングでBEVで成長してきたシャオミがEREVへ参入したことは興味深い。シャオミはEREVを単なるBEV普及までの「つなぎ」とするのではなく、大容量電池によって日常の大半をEVとして走りながら、長距離では発電用エンジンを使える商品として投入した。N70 MaxのEV航続距離505キロメートルは、その戦略を象徴する。

シャオミにとって販売台数を一段と引き上げる役割も担う。同社の2026年1~7月の納車台数は21万6322台で、8月も3万台を超えた。一方、年間目標は55万台。8月を3万台として計算しても年間目標の進捗率は約45%にとどまり、残る4カ月には月平均7万5000台を超える納車が必要となる。スカイノマドをSU7、YU7に続く量販車に育てられるかが、目標達成を左右する。発売4分で1万台という確定注文は好スタートといえる。ただ、受注を実際の生産・納車に結びつけられるかはこれからだ。

BEVで自動車市場に参入したシャオミが、EREVを加えて動力方式の選択肢を広げた。スカイノマドの投入は、中国の新エネルギー車市場の競争が「BEV対EREV」という単純な構図から、利用者の用途に合わせて複数の動力方式を使い分ける段階へ移りつつあることを示す動きとなりそうだ。(2026年9月8日)