• 2026-09-18

VW、「ID.3 GTI」を世界初公開 326馬力、GTI史上最強の電動モデル

フォルクスワーゲン(VW)は9月16日、電気自動車(BEV)の高性能モデル「ID.3 GTI」を世界初公開した。最高出力240kW(326馬力)、最大トルク545Nmを発生し、量産されるGTIとして過去最高の性能を実現する。航続距離は最大601kmを見込む。2027年初めに欧州で先行受注を開始する予定で、誕生50周年を迎えた「GTI」を電動車時代に継承する戦略モデルとなる。

走行するフォルクスワーゲン ID.3 GTI
フォルクスワーゲンが世界初公開した新型「ID.3 GTI」(写真:フォルクスワーゲン)

ID.3 GTIは、刷新される電動ハッチバック「ID.3 Neo」をベースとし、後輪に搭載した電気モーターが最高出力240kW、最大トルク545Nmを発生する。停止状態から時速100kmまで5.6秒で加速し、最高速度は時速200kmに制限される。

ID.3 GTIの駆動システム透視図
正味容量79kWhの電池と後輪駆動システムを搭載する(写真:フォルクスワーゲン)

駆動用電池は正味容量79kWhのリチウムイオン電池で、1回の充電による航続距離は最大601km。最大183kWの急速充電に対応し、電池残量10%から80%まで約29分で充電できるとしている。電力消費率は100km当たり14.5kWhの見込みで、性能と電費の両立を前面に打ち出した。

足回りには電子制御式の「DCCスポーツシャシー」とプログレッシブステアリングを標準装備する。低重心の車体と瞬時に立ち上がる電気モーターのトルクを組み合わせ、従来の内燃機関車とは異なるGTIの走行感覚を狙う。

ステアリング下部には、専用の「GTIボタン」を配置した。ボタンを押すとGTIモードが作動し、モーターの出力特性やステアリング、DCCスポーツシャシーを最もスポーティーな設定に切り替える。同時にローンチコントロールが使用可能となり、車内照明やデジタルメーターの表示も赤を基調とした専用仕様に変化する。

ID.3 GTIのコックピット
赤のアクセントを配したID.3 GTIのコックピット(写真:フォルクスワーゲン)

GTIモードでは内燃機関を模した走行音も車内に流す。静粛性に優れるBEVでありながら、音や表示を含めた演出によってドライバーとの一体感を高める考えだ。このほか、エコ、コンフォート、スポーツ、インディビジュアルの各走行モードを備える。

外観には初代「ゴルフGTI」が登場した1976年以来の象徴となっている赤いストライプや、ハニカム形状のフロントグリルを採用した。標準装備の20インチアルミホイールは、オーストリアで長年開催されたGTIミーティングにちなみ「ヴェルターゼー」と名付けた。

車内は赤と黒を基調とし、シートには初代ゴルフGTIのチェック柄を現代風に再構成した「スーパークラーク」を採用した。スポーツステアリングには赤いセンターマークを設け、ダッシュボードにもGTIを象徴する赤いラインを配している。

インフォテインメント画面は12.9インチで、空調操作用のスイッチや音量調整用の回転式ノブも設置した。近年のVW車で課題とされてきた操作性について、物理操作系を取り入れて改善を図った格好だ。

給電口に専用アダプターを接続し、車外の電気機器などへ電力を供給するV2L機能も設定する。赤信号を検知して自動で停止する新世代の運転支援システム「トラベルアシスト」や、拡張現実(AR)対応ヘッドアップディスプレーなどもオプションで用意する。

GTIは、実用的な小型車に高性能なエンジンと足回りを組み合わせたモデルとして、VWのブランド形成を支えてきた。ID.3 GTIは、その価値を単に電動化するだけでなく、走行制御や音、表示を一体化したソフトウエアによって再構築するモデルと位置付けられる。

※性能、航続距離、電力消費率、充電時間はいずれもVWの暫定予測値。発表車は量産化に近いコンセプトモデルで、現時点では未発売。

(2026年9月16日)