• 2026-10-23

ボルボ・カーズ、2026年7~9月期は営業赤字に転落 中国の売上半減、追加で2500人削減へ

ボルボ・カーズが23日に発表した今年7~9月期決算は、営業損益が56億スウェーデンクローナ(約881億円)の赤字となり、4~6月期の8億クローナ(約126億円)の黒字から一転した。中国での売り上げが競争激化と価格下落圧力で前年同期比でほぼ半減したほか、米国の関税や電動車購入支援策の終了が収益を圧迫。さらに米国の燃費規制関連クレジットの評価損なども重なった。同社は再建策を強化し、追加で50億クローナ(約787億円)のコスト削減と、世界で約2500人の人員削減を進める。

7~9月期の売上高は、前年同期比22.6%減の669億クローナ(約1兆526億円)だった。前年同期の営業損益は64億クローナ(約1007億円)の黒字で、営業利益率は7.4%からマイナス8.4%に低下した。合弁会社・関連会社の損益と比較可能性に影響する項目を除いた営業損益も、前年同期の58億クローナ(約913億円)の黒字から、37億クローナ(約582億円)の赤字に転落した。同ベースの営業利益率はマイナス5.6%となった。

中国では、現地の新興ブランドとの競争と厳しい価格下落圧力が業績を直撃した。米国では関税と電動車購入支援策の終了に加え、法改正に伴う企業平均燃費(CAFE)クレジットの評価見直しが11億クローナ(約173億円)のマイナス要因となった。原材料市況の悪化も響いた。さらに、ポールスターの2026年4~6月期の損失を取り込んだことによる9億クローナ(約142億円)のマイナス影響が生じた。フリーキャッシュフローは89億クローナ(約1400億円)のマイナスで、前年同期の43億クローナ(約677億円)のマイナスから悪化した。

追加のコスト削減は、間接支出と変動費が対象となる。約2500人の人員削減のうち、約2000人はスウェーデンで実施する。外部コンサルタント契約の終了、自然減、対象を絞った従業員向け退職支援策などで対応する。ボルボ・カーズは2025年5月にも約3000人の人員削減を発表しており、今回は従来策に続く追加の合理化となる。これにより、同社は2027年末までに効果を全面的に発揮すると見込んでいる。

生産面では、世界のボルボ専用工場を5拠点に集約する方向で効率化を進める。中国・成都工場とベルギー・ゲント工場では、吉利(ジーリー)と共同で複数ブランドを組み立てる可能性を検討する。調達先やハードウエア部品の共通化も拡大する。ホーカン・サムエルソン社長兼CEOは、販売台数が厳しい状況にあることを踏まえ、追加施策で再建計画を強化する必要があると説明。損益分岐点を引き下げ、キャッシュフローを改善する方針を示した。

【解説】今回の赤字を読み解くうえで押さえたいのは、4~6月期の黒字も、収益回復が盤石だったことを示すものではなかった点だ。同四半期の営業利益率は1.1%にとどまった。前年同期の大幅赤字からは改善したものの、比較可能性に影響する項目を除いた営業利益は前年同期を下回っていた。販売構成や価格、卸売台数、排出関連クレジット収入の悪化を、変動費と間接費の削減で一部補う構図だった。

つまり、低い利益率で踏みとどまっていたところへ、中国と米国の事業環境の一段の悪化と評価損などが重なった形だ。今回の発表資料には前四半期からの減益要因別の金額内訳は示されていないが、合弁会社・関連会社の損益などを除いても赤字となっており、収益改善には販売とコストの両面で立て直しが求められる。追加の人員削減は、従来の合理化を進めてもなお、現在の販売規模に対してコスト負担が重いという経営判断を映している。

再建に向けた商品戦略は、地域ごとの需要に合わせる姿勢が鮮明になっている。欧州ではBEVが軸となる。7~9月期の欧州販売に占めるBEVの割合は45%に達した。新型BEV「EX60」の欧州受注は5万台を超え、同社は収益性の高い主力モデルの一つになると見込む。ただし、新たな生産技術の導入により、増産には計画以上の時間を要している。受注を売上高と利益につなげるには、生産の立ち上げが鍵を握る。

米国では、長距離走行型PHEVと現地生産を重視する。「XC90」と「XC60」の長距離走行型PHEVは生産開始を前倒しし、欧州で年内、米国ではその後まもなく納車を始める計画だ。2027年1~3月期には米チャールストンでXC60の生産を開始する。商品力の強化に加え、関税の影響を受けにくい供給体制を築く狙いが読み取れる。中国では吉利との協力を深め、中国向け新型車6車種のうち最初の2車種を2027年半ばに公開し、生産を始める。現地の技術基盤と最新の先進運転支援システム(ADAS)を採用する方針で、中国市場の競争に対応した商品づくりを急ぐ。

同社は2030年末までに13車種の新型車を投入する計画だ。ただ、追加のコスト削減効果が全面的に表れるのは2027年末となる。それまでの間、EX60の増産や地域別の新車投入を着実に進め、足元の資金流出を抑えられるかが再建の焦点となる。

(2026年10月23日)