
独ZFは22日、電動パワーステアリング(EPS)の世界累計生産台数が1億基を突破した、と発表した。2001年に油圧式に代わる技術として市場投入して以来、電動化やソフトウエア・デファインド・ビークル(SDV)の普及を背景に採用が拡大した。ZFは、EPSを次世代ステアリング技術「ステア・バイ・ワイヤ」の基盤技術と位置付け、自動車のソフトウエア化を支える中核部品として競争力を高める。
電動化で省エネ性能を向上
従来の油圧式パワーステアリングは常時ポンプを駆動する必要があったのに対し、EPSはハンドル操作時のみ電力を消費する。このためエネルギー消費を抑えられるほか、CO₂排出量削減にも貢献し、電動車やハイブリッド車を中心に採用が広がっている。ZFは、小型乗用車から高性能SUV、小型商用車まで幅広い車種に対応する製品群を展開。コラムドライブ式、デュアルピニオン式、ベルトドライブ式など複数の構成を用意し、車両性能や用途に応じた最適なシステムを供給している。
同社のラミロ・グティエレス・ステアリング事業部シニア・バイスプレジデントは「1億基の生産達成はZFのステアリング技術におけるリーダーシップを示すものだ。EPSは効率性、拡張性、ソフトウエア対応を兼ね備えた業界標準となり、SDVや次世代ステア・バイ・ワイヤを支える基盤技術になっている」と話している。
SDV・ステア・バイ・ワイヤ普及を後押し
EPSは現在、自動車産業が進めるSDV化に欠かせない技術となりつつある。機械的な操舵機構を電子制御へ置き換えるステア・バイ・ワイヤでは、EPSがその基盤となる。ZFは同システムについても既に量産を開始しており、今後普及が本格化するSDV市場で優位性を確立する考えだ。ステア・バイ・ワイヤは、ソフトウエアによる操舵特性の変更や車種ごとの個性付け、先進運転支援システム(ADAS)との高度な連携を可能にする技術として注目されている。車両の継続的なソフトウエア更新(OTA)による機能向上にも対応しやすく、自動車メーカー各社が開発を加速している。
ZFは、アジア、欧州、北米、南米に広がる開発・生産ネットワークを活用しながらEPS技術の高度化を進めており、今回の累計1億基達成を足掛かりに、ソフトウエア主導の車両開発時代に向けたステアリング技術の進化を加速させる方針だ。(2026年7月23日)