• 2026-08-07

メルセデス・ベンツ、4〜6月期営業益22%増 EV販売51%増、中国苦戦も通期見通し維持

メルセデス・ベンツ・グループが28日発表した2026年4〜6月期決算は、売上高が前年同期比3.3%減の320億6,100万ユーロ(約5兆9,338億円)、利払い・税引き前利益(EBIT)が21.5%増の15億4,700万ユーロ(約2,863億円)だった。最終利益は13.5%増の10億8,600万ユーロ(約2,010億円)。中国市場で乗用車販売が大幅に落ち込む一方、金融サービスと商用バン事業が利益を下支えした。

主力の乗用車事業では収益性の低下が続いたものの、電気自動車(EV)の販売は前年同期比51%増えた。新型車投入を軸に電動化を加速し、2026年通期の電動車販売比率の見通しを引き上げた。一方、中国市場の厳しい競争環境を踏まえ、乗用車販売とグループ売上高の通期見通しは従来の「前年並み」から「前年をやや下回る」に下方修正した。

乗用車部門であるカーズの4〜6月期販売台数は7.9%減の41万7,765台だった。欧州は4%増、米国は10%増となった半面、中国は30%減少した。中国を除く世界販売は2%増えており、中国市場の不振が全体を押し下げた格好だ。売上高は4.9%減の229億8,700万ユーロ(約4兆2,544億円)。EBITは93.7%減の4,900万ユーロ(約91億円)まで落ち込んだ。中国で持ち分法を適用する投資先に関連して7億400万ユーロ(約1,303億円)の減損損失を計上したことが響いた。

中国での競争激化や需要低迷、モデル切り替えに加え、商品構成の悪化や新型車の立ち上げ費用が収益を圧迫した。ただ、調整後利益率は会社が通期で見込む3〜5%の範囲内を確保した。対照的にEV販売は伸びた。乗用車のEV販売は50.9%増の5万2,852台となり、特に欧州では87%増加した。新型「CLA」や「GLB」が販売に寄与し始めたほか、新型電動「GLC」の受注も好調としている。

商用車部門のメルセデス・ベンツ・バンズは堅調だった。販売台数は0.7%増の9万4,075台、売上高は5.1%増の44億5,500万ユーロ(約8,245億円)。EBITは83.2%増の5億200万ユーロ(約929億円)となった。調整後EBITは2.9%増の4億5,400万ユーロ(約840億円)で、調整後売上高利益率は10.2%と2桁を維持した。EVバンの販売は46.4%増の1万62台となり、販売に占めるEV比率も10.7%と前年同期の7.4%から上昇した。6月にはスペイン・ビトリア工場で新型電動「VLE」の量産を開始した。

金融部門のメルセデス・ベンツ・ファイナンシャル・サービスも収益改善が鮮明だった。調整後EBITは69.7%増の4億9,200万ユーロ(約911億円)。調整後自己資本利益率(ROE)は15.3%と前年同期の8.9%から6.4ポイント上昇した。ポートフォリオの採算改善とコスト効率化が寄与した。

コスト削減は今後もグループ全体で継続する方針を確認した。一般管理費は14%減、研究開発費は12%減少した。乗用車部門の売上原価も7%削減した。2019年以降、固定費を約25%削減しており、26年6月からはドイツ拠点を中心に生産性改善策を一段と強化している。

同社は2025〜27年に40車種以上を投入する過去最大規模のモデル攻勢を進めている。新型Sクラスの投入地域を拡大するほか、電動Cクラス、新型GLE、GLSなどの受注を開始。7月末には新型電動GLAを世界初公開し、販売を始める計画だ。これらにより、2026年通期について、乗用車部門の調整後売上高利益率3〜5%の見通しを据え置いた。一方、中国市場の厳しい環境が続くとして、乗用車販売台数を従来の「前年並み」から「前年をやや下回る」に引き下げた。グループ売上高についても同様に「前年をやや下回る」とした。半面、EVとプラグインハイブリッド車(PHV)を合わせた電動車(xEV)の乗用車販売比率は、従来予想の21〜23%から23〜25%へ引き上げた。下期に新型EVの販売が本格化することを織り込む。

オラ・ケレニウス最高経営責任者(CEO)は「厳しい市場環境でも第2四半期は計画に沿って進み、モデル攻勢を加速した」と説明。欧州ではEVの受注が4〜6月期に前年同期の2倍以上に増えたとし、下期は新型車の顧客への供給拡大とコスト、生産性の改善に重点を置く方針を示した。

中国市場の不振で主力乗用車事業の収益力が大きく低下する一方、EVの販売拡大と金融・バン事業、コスト削減がグループ業績を支える構図となった。過去最大規模のモデル攻勢が下期以降の販売回復につながるか、中国での収益悪化をどこまで補えるかが焦点となる。(2026年7月28日)