ボルボ・カーズは20日、次期社長兼最高経営責任者(CEO)にシュコダ・オートのクラウス・ツェルマーCEOを起用すると発表した。遅くとも2027年10月1日までに就任するという。現CEOのハカン・サミュエルソン氏は退任する。2度目の登板でボルボ・カーズの再建の道筋を示したことで、ツェルマー氏にバトンを渡すことになる。

ツェルマー氏は1967年生まれ。自動車業界で30年以上の経験を持ち、VWグループのプレミアムブランドと量販ブランドの双方で経営に携わってきた。現在はシュコダ・オートの取締役会会長兼CEO。ツェルマー氏の経歴はまさにVWグループでの輝かしいものだ。経営学を学び、1994年からドイツのニュルティンゲン・ガイスリンゲン応用科学大学の自動車経済研究所に勤務した。その後、ポルシェで20年以上にわたり、ドイツ法人CEOや北米法人CEOなどを歴任。VW乗用車ブランドでは、取締役としてマーケティング、販売、アフターセールスを担当した。
2022年7月にシュコダ・オートのCEOへ就任。ツェルマー氏の下でシュコダは欧州有数の販売規模を持つブランドへ成長し、2025年には過去最高水準の業績を記録している。この2026年上半期も販売を伸ばし、電気自動車の納車台数が過去最高となるなど、苦戦のVWグループにあってひとり気を吐く存在だ。
ボルボ再建でサミュエルソン氏勇退へ
ボルボ・カーズのエリック・リー会長は、ツェルマー氏について「深い自動車産業の知見と幅広い国際的な経営経験を持ち、市場環境の変化の中で組織改革を率いてきた実績がある」と評価した。プレミアム車と量販車の両分野での経験が、ボルボ・カーズに適しているとしている。
ツェルマー氏は「ボルボ・カーズの発展にとって重要な時期に加わることをうれしく思う」とコメント。安全性を中核とするブランドの評価や、時代を超えたデザイン、明確なブランド・アイデンティティーを高く評価した。
ボルボ・カーズでは近年、トップ人事が相次いでいる。サミュエルソン氏は2012年から2022年までCEOを務め、中国・浙江吉利控股集団傘下での事業再建や電動化を主導した。
2022年には、家電大手ダイソンの元CEOであるジム・ローワン氏が後任に就任。ソフトウエアや電動化を軸とする事業変革を進めたが、EV市場の減速や開発コストの増加、米国の関税を含む事業環境の変化を受け、2025年に退任した。
これに伴い、サミュエルソン氏が2025年にCEOへ復帰した。同氏の再登板は、収益力の回復やコスト構造の見直し、地域別の商品・生産戦略を進めながら、長期的に経営を担う後継者を選ぶための暫定的な体制と位置付けられていた。
ツェルマー氏は、ボルボ・カーズが商品展開の拡大や親会社の吉利グループとの協業強化を進める中で経営を引き継ぐ。プレミアムブランドとしての競争力を維持しながら、電動化投資と収益改善を両立できるかが課題となる。
(2026年9月20日)