
独BMWグループは30日、第8世代となる次期「BMW 3シリーズ」の生産に向け、ドイツ国内の車両工場と電池工場に計約20億ユーロ(約3,570億円)を投資すると発表した。ミュンヘン工場が電気自動車(EV)の新型「BMW i3」、ディンゴルフィン工場がエンジン車とプラグインハイブリッド車(PHEV)を担う。電動化と複数の駆動方式への対応を進め、主力車種の生産競争力と国内の雇用を強化したい考えだ。
投資額のうち約10億ユーロ(約1,780億円)は、ミュンヘンとディンゴルフィンの両車両工場の整備に充て、残る約10億ユーロは、独バイエルン州のイルルバッハ・シュトラスキルヒェンに新設した高電圧電池工場への投資となる。
ミュンヘンでEV、ディンゴルフィンでエンジン車・PHEV
ミュンヘン工場では、次世代EV群「ノイエ・クラッセ」の技術に対応するため、新たな建屋や生産設備を整備した。100年以上の歴史を持つ同工場をEV専用拠点へと転換し、3シリーズの電動モデルとなる新型i3を生産する。
ディンゴルフィン工場は、複数の車種と駆動方式を生産できる柔軟性を生かし、次期3シリーズのエンジン車とPHEVを世界市場に供給する。車体工場に3シリーズ用の新たな生産ラインを設け、組み立てと塗装では既存のBMW車種と混流生産する計画だ。
新設のイルルバッハ・シュトラスキルヒェン工場では、第6世代の高電圧電池の組み立てを始め、10月からミュンヘン工場に新型i3向けの電池システムを供給し、車両と電池の生産を地域内で一貫化する。
部品供給拠点の3割超がドイツ国内
次期3シリーズの生産立ち上げに伴い、約760のサプライヤー拠点がミュンヘンとディンゴルフィンに部品や材料を供給する見通しだ。このうち7割超が欧州、3割超がドイツ国内にあることから、BMWは工場への投資を通じ地域の部品メーカーやサービス事業者を含む産業基盤の維持・強化につなげたい考えだ。
BMWグループはドイツ国内で年間100万台以上を生産し、同国の自動車生産の約4分の1を占める。グループ従業員の約55%が国内で働いており、ドイツは生産と雇用の中核となっている。
生産担当取締役のレイモンド・ヴィットマン氏は、今回の投資について「ドイツでの付加価値創出、競争力のある生産、雇用の安定に向けた取り組み」と説明。一方で、国内の産業基盤を維持するには、投資と技術革新、競争力を支える事業環境が不可欠だと指摘した。
3シリーズは1975年の生産開始から累計約1,800万台を生産し、うち約1,500万台がドイツ製となる。BMWは主力車種の世代交代を通じてノイエ・クラッセの技術を展開し、2027年末までに同技術を採用した新型・改良モデルを約40車種投入する計画だ。
(2026年9月30日)