• 2024-05-18

BMWなどメーカー7社、北米で高出力充電ネットワーク合弁を発表

BMWやGMなど世界の自動車メーカー7社が、北米での高出力のEV充電ネットワークづくりをめざし協業する。BMWなどが26日発表した。年内にも新会社を設立し、来夏から米国内でDC充電器基地を設置する。BMWなどはこれにより、どの自動車メーカーもテスラが主導する北米充電規格(NACS)や欧州でも主流の複合充電システム(CCS)利用ができるという。米国政府が推し進めるインフラプログラムに沿って、テスラによるNACS標準化の動きにも一石を投じそうだ。

合弁事業にはBMWグループ、ゼネラルモーターズ、ホンダ、現代自動車、起亜自動車、メルセデス・ベンツ・グループ、ステランティスNVの7社が参加した。少なくとも3万基の充電器を備えた新しい高出力充電ネットワークづくりをめざしている。連邦政府などの投資を促すほか民間の資金も活用し、高出力充電基地の設置を加速させる。新しい充電ステーションは、どの自動車メーカーのBEVも利用できるとしており、複合充電システム(CCS)または北米充電規格(NACS)も対象となる。

来夏に米国で、その後カナダで新たな充電ステーションを開設する予定で、複数の高出力DC充電器を備える計画だ。また、この充電ネットワークの電力は再生可能エネルギーのみで賄うとしている。

カスタマー・エクスペリエンスの向上

新たな充電ステーションには、トイレやフードサービス、小売店などのアメニティを複合施設として設置する。「快適な設備を整え、充電の未来を示すような最高の体験を提供する」方針だ。当初は大都市圏や主要幹線道路沿い(連絡通路や休暇ルートも含む)に充電ステーションを開設する。ネットワークの機能とサービスは、予約、インテリジェントなルートプランニングとナビゲーション、決済アプリケーション、透過的なエネルギー管理など、参加自動車メーカーの車載およびアプリ内エクスペリエンスとのシームレスな統合を可能にする。さらに、このネットワークはPlug & Charge技術を活用し、顧客体験をさらに向上させる。

米国エネルギー省によると、2023年7月現在、米国には230万台の電気自動車が利用できる3万2,000台のDC急速充電器があり、充電器1台あたり72台の割合となっている。NREL(国立再生可能エネルギー研究所)の試算では、2030年までに3,000万台から4,200万台のプラグイン車をサポートするには、18万2,000基のDC急速充電器が必要になる。米国の電気自動車販売台数は、2030年までに全米販売台数の50%を超えると予想されており、電気自動車の普及には、信頼性の高い充電インフラの拡大がさらに重要になる。

JV設立パートナーのひとり、BMWグループのオリバー・ジプセ CEOは「北米は世界で最も重要な自動車市場のひとつであり、エレクトロモビリティのリーダーになる可能性を秘めています。高速充電へのアクセスは、この移行を加速させる重要な手段のひとつ。そのため、自動車メーカー7社は、EV消費者にポジティブな充電体験を提供することを目標に、この合弁会社を設立する」と話している。GMのメアリー・バーラCEOは「オール・エレクトリックの未来に向けたGMのコミットメントは、お客様に愛されるEVを提供することだけでなく、充電に投資し、それをより利用しやすくするために業界全体で取り組むことに重点を置いている。人々がより良い経験をすればするほど、EVの普及は加速する」と述べた。

ホンダの三部敏博社長は「EV充電サービスの構築は、自動車メーカーにとって、お客様に完全で便利かつ持続可能なソリューションを提供することで、優れたユーザー体験を生み出す機会となる。この目的に向けて、この合弁事業は、米国とカナダ全域でEVの普及を加速させ、カーボンニュートラルの達成に向けた取り組みを支援する重要な一歩となる」と語った。