
中国の電気自動車(EV)メーカー、上海蔚来汽車(NIO)は28日、浙江吉利控股集団(吉利グループ)と充電・電池交換事業の包括的な戦略提携を発表した。2023年に始めた技術協力を資本・事業面へ拡大し、事業会社への相互出資に加え、充電網の相互接続や電池交換に対応する吉利車の開発を進める。吉利側は商用車向け電池交換事業と現金6億4,000万元(約152億円)を拠出し、NIOの事業会社「NIO Power」の株式30%を取得する。
吉利側が拠出するのは、商用車向け電池交換サービスを手がける傘下企業「易易互聯科技(重慶)」の全株式と現金6億4,000万元(約152億円)。取引完了後のNIO Powerの出資比率は、吉利側が30.0%、NIOの中国事業会社が63.6%、既存投資家が6.4%となる。NIO側は経営権を維持する。取引後のNIO Powerの企業価値は約160億元(約3808億円)と評価されるという。規制当局の承認などが経て正式実施する。
吉利側の出資比率は、取引完了後の事業目標の達成状況に応じて、最低20%まで引き下げられる可能性がある一方、吉利側には6億4,000万元(約152億円)を追加出資する権利も与えられた。持ち分の調整がなければ、追加出資後の比率は吉利側が34.0%、NIO側が60.0%となる。権利を行使できるのは、取引完了から2年後か、NIO Powerが次の資金調達について拘束力のある契約を結ぶ日のいずれか早い時点までとなる。
NIOの中国事業会社も、吉利傘下で充電事業を手がける「浙江浩瀚能源科技」に現金出資し、株式10%を取得する。出資金は、浩瀚能源がNIOから一部の充電設備を購入するために使われる。出資額や対象設備の詳細は公表されていない。両社は充電設備を相互接続し、利用可能な拠点の拡大とネットワークの運営効率向上を図る。取引はいずれも規制当局の承認などが条件となる。
技術協力から事業の共同展開へ
両社は2023年に、電池交換の規格や技術、交換網の整備、対応車種の開発などを柱に提携した。今回、その協力を資本・事業面に広げることになり、NIO Powerの事業に吉利側の商用車向け電池交換サービスが加わる格好だ。
吉利グループは一般ユーザー向けの電池交換対応車を開発し、NIO Powerが交換サービスを提供する方針も示した。商用車分野では吉利傘下の易易の事業をNIO Powerに統合し、商用車向け交換網を拡充する。両社は乗用車向けの電池交換技術・規格も共同開発する。ただし、対応車の車種や投入時期は明らかにしていない。
吉利側の浩瀚能源は中国232都市で充電所2500カ所、充電口1万2000基超を展開している。吉利は2027年末までに充電所を2万2000カ所超に増やす計画だ。両社の充電網が接続されれば、利用者が使える充電拠点の選択肢も広がる。
NIOによると、9月27日時点の中国国内の電池交換・充電拠点は計9433カ所。このうち電池交換所が4126カ所、充電所が5307カ所に上る。充電・電池交換の技術と設備には累計200億元超(約4760億円)を投じてきた。今回の提携で吉利車へのサービス提供と充電網の相互接続が進めば、NIOは自社車両以外からの利用を増やし、巨額の設備投資を生かせる可能性がある。NIO Powerは2030年までに電池交換所を1万カ所に拡大する目標を掲げるが、提携が収益改善にどの程度寄与するかは、対応車の投入や利用の広がりによる。
(2026年9月28日)