
中国の百度(バイドゥ)は3日、深圳で開いた「百度AI Day」で、自動運転システムの学習・検証に使う世界モデル「Apollo World」を初公開した。今回の発表はロボタクシーの開発・試験に関するもので、仮想都市の中で、配車依頼を受けて乗客を迎えに行き、目的地まで送り届ける一連の運行を再現できる。百度はすでに、ロボタクシーサービス「Apollo Go」の世界展開に向けた試験・検証に活用している。
交差点など個別の場面から、1回の運行全体へ
百度が特徴として挙げるのは、出発地と目的地を変えながら、複数の道路区間にまたがる運行を一続きで試せる点だ。交差点や合流といった個別の場面での判断に加え、迎車から降車まで交通状況が変化する中で、自動運転システムが走行を続けられるかを検証する。
周囲の車や歩行者は、あらかじめ決められた動きを再生する方式と異なり、無人車の減速や車線変更、譲り合いに応じて行動を変える。Apollo Worldはその変化を反映したカメラ画像やLiDARの点群データをリアルタイムで生成する。自動運転システムはそれを読み取り、次の操作を決める。
米ウェイモも、カメラやLiDARのデータを生成し、自車の操作に周囲の交通が反応するシミュレーションを公表している。百度は今回、こうした相互作用を、配車依頼から降車までのロボタクシーの運行全体に組み込んで試せる点を前面に出した。
実車で遭遇しにくい場面を反復、新都市への導入に活用
百度はApollo Goの運行データから、複雑な交通状況や危険場面を抽出し、仮想空間で繰り返し試す。実際の運行でまだ遭遇していない場面も生成し、試験結果を車載システムの改良に反映する。新たな都市に車両を投入する前に、さまざまな場面を検証し、実車試験の費用や導入時のリスクを抑える狙いだ。
公式発表が紹介した業界関係者の試算では、仮想空間で1日に10万kmの走行試験が可能で、安全要員が乗る実車1台で約3年間にわたり試験を続けた場合の距離に相当する。実車試験費用の削減額や、公道での安全性がどの程度改善したかを示す数値は、今回の発表では公表されていない。
百度によると、Apollo Goは世界28都市に展開し、累計の乗車サービス提供回数は2,300万回を超えた。自動運転での累計走行距離は3億5,000万kmを超え、このうち完全無人での走行は2億4,000万kmを超えている。
(2026年11月5日)