• 2026-10-30

CATL、独インティリオンとナトリウムイオン蓄電で協業 欧州で5年間に最大3GWhを計画

ナトリウムイオン蓄電事業の覚書に署名するCATLとインティリオンの代表者
CATLとインティリオンの覚書署名式(写真:CATL)

中国の電池大手CATLは27日、ドイツの蓄電システム企業インティリオン(INTILION)と協力覚書(MOU)を締結した、と発表した。ナトリウムイオン電池を用いた蓄電事業で協業し、今後5年間に最大3GWhのプロジェクト実現を目指す。ドイツ、スイス、オーストリアなどを対象に、電力系統向けや商工業施設向けの導入を進める。両社は2022年以降、ドイツで30件を超える蓄電プロジェクトに取り組んできた。今回の合意で既存の協力関係をナトリウムイオン電池へ広げ、欧州でリチウムイオン電池と併せた展開を図る。最大3GWhの事業開発を目指す覚書

インティリオンによると、覚書には個別プロジェクトの実施に加え、新規案件の共同開発や市場開拓活動も含まれる。今後5年間で3GWhの事業規模をめざす。今回の協業は、CATLがナトリウムイオン電池の用途を定置用蓄電へ広げる動きの一環で、導入実績を持つ現地企業と事業を開発することで、新技術を欧州の電力設備や産業施設へ組み込む足場を固める狙いだ。

CATLは、欧州の寒冷な環境への対応を図る狙いで、対象となる蓄電システムは1万5,000回を超えるサイクル寿命と25年間の安定運用に対応し、氷点下20度でも高い放電出力を維持できるという。電力系統の周波数調整などでの利用を想定する。CATLは今年6月に、ドイツ・ミュンヘンでナトリウムイオン蓄電システム「TENER Sodium」を発表している。モジュール構造を採用し、案件に応じて蓄電時間を設定できる設計で、LFP(リン酸鉄リチウム)電池を用いたシステムと設置面積を共通化し、電池技術の選択肢を広げるとしている。

ナトリウムイオン電池の展開は、蓄電事業者にとってリチウム価格の変動に対応する選択肢にもなる。CATLは、同じプラットフォームでナトリウムイオン電池とリチウムイオン電池を使い分けられる設計を、価格変動リスクへの対策として位置づけており、6月の発表時点では海外向け納入を1年後の2027年6月に開始する計画を示した。欧州での普及に向けては、低温性能や寿命に加え、導入費用、運用実績、保守体制が採用を左右するとみられている。今回の最大3GWhの計画を具体的な案件へ結びつけられるかが、ナトリウムイオン蓄電の商用化を測る焦点となりそうだ。

(2026年10月28日)