• 2026-10-30

BYD、PHEVピックアップ「SHARK」で欧州市場へ EV航続90kmで既存勢に挑む

BYDのPHEVピックアップトラック「SHARK」のフロント斜めからの外観

BYDは22日、同社初のピックアップトラック「SHARK」の欧州向け概要を発表した。プラグインハイブリッド(PHEV)システム「Super Hybrid DMO」を搭載し、電気のみで最大90kmを走行する。英国を皮切りに、今後数カ月かけて欧州の一部市場に展開する計画だ。欧州のピックアップ市場は、フォード「レンジャー」など既存モデルが根強く、BYDはPHEVならではのEV走行距離や外部給電機能、乗用車に近い快適性で訴求したい考えだ。

欧州のピックアップ市場は、調査会社Dataforceによると、欧州33市場の2026年上半期の販売台数は前年同期比15%減の6万5,824台だった。フォードが同市場のトップシェア(42%)を持つ。主力モデルではレンジャー、トヨタ「ハイラックス」、いすゞ「D-MAX」、フォルクスワーゲン「アマロック」が上位を占めている。中国ブランドの合計シェアは前年同期の3.9%から8.6%へ上昇しているものの、1割にも満たない状況だ。

SHARKの投入で、同市場の競争はさらに強まりそうだ。すでにフォードは「レンジャーPHEV」を投入しており、そのEV航続距離はWLTPで最大43km。BYDのSHARKはその約倍の90kmとしており、ライバル車に対する競争力は魅力になっている。また、SHARKの発売でピックアップ選びが積載・けん引能力に加え、EV走行距離や充電性能、作業現場での給電機能を比較する動きも広がりそうだ。BYDは価格は示しておらず、今後は価格競争が注目を集めそうだ。

車両概要は、5人乗りのダブルキャブを採用。全長5,457mm、全幅1,971mm、全高1,925mmで、ホイールベースは3,260mm。車両重量は2,710kgとなる。パワートレインは、1.5リッター直列4気筒ターボガソリンエンジンと前後2基のモーターを組み合わせた四輪駆動で、システム最高出力436PS、最大トルク650Nmを発揮し、0–100km/h加速は5.7秒としている。

「Dual Mode Off-road」(DMO)は、EV走行を優先する設計で、エンジンは主に発電を担い状況に応じてモーターのみの駆動、発電しながらのモーター駆動、エンジンとモーターによる並列駆動、エンジンによる直接駆動を使い分ける。バッテリーは容量32.2kWhのLFP「ブレードバッテリー」を搭載。WLTP複合モードでのEV航続距離は90km、満充電・満タン時の総航続距離は675kmとなる。WLTP加重複合燃料消費量は3.5L/100km、バッテリー残量が低い状態では9.6L/100kmと公表した。充電は最大11kWの交流と最大55kWの直流に対応し、交流充電では残量15%から100%まで約3.2時間、直流急速充電では30%から80%まで21分としている。

車体はラダーフレーム構造とし、バッテリーをシャシーに統合するCTC(Cell-to-Chassis)技術を採用。前後ともダブルウィッシュボーン式サスペンションを備える。荷台容量は1,200リットル、最大積載量は790kg。ブレーキ付きトレーラーの最大けん引能力は2,500kgとなる。外部給電機能「V2L」は最大6kWに対応。車両の交流充電ポート、または荷台側面の専用コンセントから電力を取り出せるため、作業現場での電動工具や、アウトドアでの家電利用に活用できる。欧州向けグレードは「Design」の1種類。

(2026年10月28日)