• 2026-10-30

ステランティス、7~9月期の最終赤字90%縮小 欧州BEV販売65%増、通期見通し維持

2027年型ジープ・ラングラー「スイッチバック」の外観
2027年型ジープ・ラングラー「スイッチバック」(写真:ステランティス)

ステランティスの今年7~9月期決算は、売上高が前年同期比1%増の376億1,100万ユーロ(約6兆7,049億円)となった。最終損益は4億5,300万ユーロ(約808億円)の赤字だったが、前年同期の45億3,200万ユーロ(約8,079億円)の赤字から、赤字幅は90%縮小した。前年同期は、北米で品質が想定を下回り、コスト上昇も踏まえて保証修理費用の見積もりを見直したことに伴う32億5,200万ユーロ(約5,797億円)と、主に北米での開発プログラム中止に伴う17億4,800万ユーロ(約3,116億円)の費用が収益を圧迫していていた。人員削減や水素燃料電池事業の中止なども含む調整項目は計57億9,100万ユーロ(約1兆324億円)に達したが、今期もタカタ製エアバッグのリコールやリース会社Leasysへの投資評価損など計5億8,700万ユーロ(約1,046億円)の調整項目があり、これらの費用の縮小が赤字改善に大きく寄与した。

現地時間の28日に発表した。特殊要因を除いた調整後営業利益は、前年同期比184%増の2億5,600万ユーロ(約456億円)。調整後営業利益率は前年同期の0.2%から0.7%に改善した。拡大欧州地域を除く全地域で調整後営業黒字を確保し、2026年通期の業績見通しと2027年の産業事業フリーキャッシュフロー(FCF)黒字化目標を維持した。

地域別売上高は、拡大欧州と南米がそれぞれ前年同期比3%増となった。拡大欧州は販売数量の増加、南米は安定した販売数量と為替変動が寄与した。一方、北米は計画的な生産休止に伴う数量減で3%減収となり、中東・アフリカは19%減、アジア太平洋は7%減だった。北米の販売台数は前年同期比1%増加した。米国とカナダはいずれも0.3%減だったが、メキシコが24%増と伸びた。米国ではピックアップ「ラム1500」が73%増、ダッジ「デュランゴ」が14%増、クライスラー「パシフィカ」が6%増となった。北米全体の市場シェアは前年同期比0.1ポイント上昇の7.5%。ラムブランドの北米販売は30%増え、新型車やパワートレインの投入が販売回復を支えた。

欧州30カ国(EU30)の販売台数は前年同期比1%増加し、中国のリープモーターを含めると6%増となった。低価格車向けの「スマートカー」プラットフォームを使う車種の販売が36%増えたほか、フランス、ドイツ、英国でバッテリー電気自動車(BEV)の需要が拡大した。EU30の乗用車BEV販売は前年同期比65%増、リープモーターを含めると93%増となった。小型商用車のBEV販売も46%増加した。ただ、EU30全体の市場シェアは前年同期比0.6ポイント低下の14.8%。小型商用車では26.9%のシェアで首位を維持したものの、拡大欧州の調整後営業利益率は3.4ポイント低下し、赤字となった。

南米の販売台数は前年同期比4%減少したが、市場シェア18.6%で地域首位を維持した。中東・アフリカは22%減、アジア太平洋は27%減となり、地域による回復の差が続いた。

7~9月期の産業事業FCFは40億900万ユーロ(約7,147億円)のマイナスとなった。営業面の改善により前年同期から資金流出額は減ったが、なお大幅なマイナスが続く。9月末の産業事業の利用可能流動性は427億ユーロ(約7兆6,121億円)で、直近12カ月の売上高に対する比率は26%と、目標範囲の25~30%に収まった。

同社は2026年通期について、売上高は前年比で1桁台半ばの増収、調整後営業利益率は1桁台前半、産業事業FCFは前年から改善するとの見通しを据え置いた。2027年には産業事業FCFの黒字化をめざしている。また10~12月期は、7~9月期を上回る連結販売台数を見込む。生産を需要に合わせる方針を続け、北米の年末在庫を前年末に近い水準へ調整する。販売価格は7~9月期からおおむね安定し、季節要因による運転資本の改善も資金収支を支えるとみている。

一方、通期の関税による純負担は10億ユーロ(約1,783億円)を想定し、9月までに6億ユーロ(約1,070億円)が発生した。2025年下期に計上した費用に関連する2026年の現金支出は約16億ユーロ(約2,852億円)を見込む。10~12月期には、メモリー半導体やリコール関連費用の増加も想定する。

アントニオ・フィローザ最高経営責任者(CEO)は、中期計画「FaSTLAne 2030」に沿った新商品投入や提携、生産・品質の改善が進んでいると説明した。収益改善策「バリュー・クリエーション・プログラム」では、年間換算60億ユーロ(約1兆697億円)の効率化効果を目指し、その少なくとも40%に相当する施策を年末までに実施する方針を示した。

(2026年10月29日)