
フォード・モーターの今年7~9月期決算は、売上高が前年同期比2.0%減の495億2,600万ドル(約7兆7,711億円)、純利益が同16.3%減の20億4,900万ドル(約3,215億円)となった。一方、事業再編などの特殊要因を除いた調整後の利払い・税引き前利益(EBIT)は、前年同期の26億ドル(約4,080億円)から27億ドル(約4,237億円)に増加した。世界の販売台数は前年同期比9%減の104万9,000台。調整後EBIT利益率は前年同期の5.1%から5.4%に改善した。電気自動車(EV)部門の赤字縮小や金融事業の増益が収益を支え、通期の調整後EBIT見通しは下限を引き上げた。
EV部門は赤字25%縮小、商用車は原材料高などが重荷
現地時間の28日に発表した。ガソリン車とハイブリッド車を担う「フォード・ブルー」のEBITは、前年同期比約10%減の13億9,200万ドル(約2,184億円)だった。車種の生産終了に伴う販売減や、中東紛争による同地域での影響、原材料費の上昇が収益を圧迫した。高収益車種の販売構成比の改善が一部を補ったものの、EBIT利益率は前年同期の5.5%から5.1%に低下した。EV部門の「フォード・モデルe」は、EBITが10億5,800万ドル(約1,660億円)の赤字となった。赤字幅は前年同期比25%縮小したが、販売台数と売上高はいずれも31%減少した。既存の第1世代EVの採算改善を進める一方、新たな共通基盤「ユニバーサルEV(UEV)プラットフォーム」を使った手頃な価格のEVや、エネルギー事業「フォード・エナジー」への投資を続ける。
商用車・法人向け事業の「フォード・プロ」は、売上高が前年同期比2%増となった一方、EBITは同16%減の16億6,500万ドル(約2,613億円)だった。原材料費の上昇に加え、カナダのオークビル工場で大型ピックアップ「スーパーデューティー」の生産を始めるための一時的な立ち上げ費用が重荷となった。関税負担の低下や販売構成の改善が下支えした。金融子会社フォード・クレジットの税引き前利益は、同27%増の8億300万ドル(約1,260億円)となった。デリバティブの時価評価益に加え、堅調な金融利ざやと中古車価格の動向が寄与した。
通期の調整後EBITは105億~110億ドルへ
フォードは2026年通期の調整後EBIT見通しを、従来の100億~110億ドル(約1兆5,691億~1兆7,260億円)から105億~110億ドル(約1兆6,476億~1兆7,260億円)に修正した。調整後フリーキャッシュフロー(FCF)の見通しは60億~70億ドル(約9,415億~1兆984億円)、設備投資は95億~105億ドル(約1兆4,906億~1兆6,476億円)で据え置いた。7~9月期の営業キャッシュフローは54億ドル(約8,473億円)、調整後FCFは47億ドル(約7,375億円)だった。9月末の手元資金は253億ドル(約3兆9,698億円)、利用可能な融資枠などを含む流動性は464億ドル(約7兆2,806億円)を確保した。
通期見通しは、米国の自動車販売が季節調整済み年率換算で1,650万台となることを前提とする。原材料高による前年からの利益押し下げ要因を約25億ドル(約3,923億円)と見込む一方、関税や、アルミ材供給元ノベリスの工場火災に伴う影響を除き、材料費と保証費用を合わせて10億ドル(約1,569億円)削減する計画だ。中東紛争の大幅な激化や、米国経済の大幅な悪化による潜在的な影響は織り込んでいない。
ジム・ファーリー社長兼最高経営責任者(CEO)は、新たなEV基盤やフォード・エナジー、新型F-150などの投入に加え、ソフトウエアサービスと部品事業の成長を通じ、2029年に調整後EBIT利益率8%を目指す方針を示した。
(2026年10月29日)