
メルセデス・ベンツグループの今年7~9月期決算は、売上高が前年同期比4.5%減の306億9,800万ユーロ(約5兆4,725億円)、利払い・税引き前利益(EBIT)が同136.4%増の17億7,300万ユーロ(約3,161億円)となった。純利益は同27.6%増の15億1800万ユーロ(約2706億円)だった。前年同期には希望退職費用などを計上したため実質、調整後EBITは同15%減の17億8,000万ユーロ(約3,173億円)となった。欧米での販売増や金融サービス、バン事業の収益が下支えした一方、中国市場の競争激化や為替変動が重荷となった。
BEV販売は61%増、中国低迷で乗用車全体は減少
現地時間の28日に発表した。乗用車部門のメルセデス・ベンツ・カーズの世界販売台数は、前年同期比7.8%減の40万7,232台だった。欧州は5%増、米国は6%増と伸び、中国を除く販売は3四半期連続で増加したが、中国市場の落ち込みを補えなかった。一方、バッテリー電気自動車(BEV)の販売は同60.5%増の6万8,428台と、四半期ベースで過去最高を記録した。世界販売に占めるBEV比率も過去最高の16.8%に上昇。プラグインハイブリッド車を含む電動車の比率は25%となった。欧州では販売車両の約半数が電動車で、約3分の1がBEVだった。新型電気自動車のGLCやCLAなどが販売をけん引し、欧州では主要モデルの受注残が2027年の先まで積み上がっている。ただ、乗用車部門の調整後EBITは同50.8%減の5億6,000万ユーロ(約998億円)にとどまり、調整後売上高利益率は前年同期の4.8%から2.5%に低下した。中国事業の収益減に加え、新型車の立ち上げや製品改良に伴う費用が響いた。
バン部門の販売は同0.7%増の8万4,421台で、電気バンは同12.3%増の9638台だった。調整後EBITは同3.6%減の3億9,700万ユーロ(約708億円)、調整後売上高利益率は9.4%を確保した。金融サービス部門の調整後EBITは同42.2%増の4億4,500万ユーロ(約793億円)となり、グループ収益を支えた。
中国市場の逆風とコスト増で通期見通しを引き下げ
同社は、中国市場の厳しさが増していることや、10~12月期の原材料費、製品改良関連費用の増加を踏まえ、2026年通期の業績見通しを下方修正した。乗用車部門の調整後売上高利益率は、従来の3~5%から2~3%に引き下げた。グループ全体のEBITも、従来の「前年を大幅に上回る」から「前年並み」に変更。産業事業のフリーキャッシュフロー(FCF)は「前年をやや下回る」から「前年を大幅に下回る」とした。バン部門の販売見通しも、前年をやや上回る水準から前年並みに修正した。
1~9月期の産業事業のFCFは前年同期比44.0%減の31億3,100万ユーロ(約5,582億円)。7~9月期は新車在庫の一時的な積み上がりなどにより、同87.4%減の1億7200万ユーロ(約307億円)となった。一方、9月末の産業事業のネット流動性は310億ユーロ(約5兆5,264億円)を維持した。
同社は新型車投入と並行してコスト削減を進め、12月にはドイツの間接部門で希望退職制度を再実施する。AIの活用も広げ、開発、購買、生産などを結ぶ新たな仕組み「PLM.AI」により、開発期間を最大30%短縮することを目指す。
(2026年10月29日)