• 2025-06-26

EV販売が最高最高の2,200万台に。ブルームバーグNEFが見通し

今年の乗用電気自動車(EV)販売台数が、前年比25%増の約2,200万台になる、とブルームバーグのエネルギー分野の調査機関であるブルームバーグNEF(BNEF)が発表した。リチウムイオン電池のコスト低下で手ごろな価格のEV生産が増加すると理由づけた。一方で、EVの販売割合を2040年に70%と当初の見通しから引き下げた。同社が将来のEV需要を下方修正したのは今回が初めて。

BNEFは18日、「電気自動車アウトルック2025」を発表し今年のEV販売動向を予想した。これによると、2025年に販売されるプラグインハイブリッド車(PHEV)を含むEVは2,200万台弱で、2024年と比較して25%増加するとした。また、2025年に世界で販売される車の4台に1台がBEVまたはPHEVになると予測し、乗用車市場全体に占めるEVのシェアは拡大し続けると見通す。

一方、主要市場である米国では短期と長期の両方の見通しでEV拡大のスピードが落ちすと見込み、初めて下方修正した。その理由として、連邦政府による燃費基準の撤回やEV税額控除の段階的廃止、カリフォルニア州が独自の大気質基準を設定する能力の撤廃の可能性が、米国でのEV普及に大きく影響するという。具体的には、2025年を160万台とし2030年に410万台へと増加すると予想。以前の予測から大幅に下方修正されたもので、「同期間のEVの累積販売台数は1,400万台減少する」(BNEF)とした。

中国は、欧州や米国に対するリードを広げ続けている。中国国内だけでなく、タイやブラジルなどの新興国でもすでに高い販売シェアを確保していると指摘し、「EVが先進国で受け入れ始める、という仮定を覆すもの」とみる。また、中国以外では英国でのEV普及を進み、ドイツを抜きEV主要市場になったとした。

BNEFでは、EV政策が劇的な変化がないのを前提に、2035年までに世界の乗用車販売台数の56%、2040年までに70%に達すると予測した。これは昨年の2040年73%から下方修正となる。

バッテリー需要は増加し続けると予想。2025年から2035年までのバッテリー需要は昨年の見通しと比較して8%、3.4テラワット時減少し、うち2.8TWhは米国でのEV販売の低迷によるものとした。このため生産能力で余裕が生まれバッテリーのコストが下がると見込む。BNEFアナリストは「中国では、バッテリー工場の平均稼働率が現在50%を下回っている」と指摘した。

エクステンデッドレンジEV(EREV)は2024年、前年比83%増の120万台が販売され、今後も成長していくと見通す。こうしたEV需要の高まりは電力需要の大幅な増加を招くとし、2025年から2030年の間に2.4倍に増加すると予測した。さらに、全固体電池が高性能なプレミアムカーへの搭載が始まるとし、また2035年までにEVおよびエネルギー貯蔵電池の世界需要の10%を占める可能性があるとした。(2025年6月25日)