• 2026-03-17

ビンファスト、販売倍増も赤字継続 量産効果で採算改善へ前進

ベトナムのEVメーカーのビンファスト・オートは16日、2025年決算を発表した。世界販売台数は前年比2倍となる19万6,919台に達し、急速な成長を示した一方、粗利益率は依然としてマイナス圏にとどまった。新興EVメーカーが相次いで苦戦を強いられる中、ビンファストの赤字幅は大きく縮小しており、量産効果によるコスト改善が進みつつある。

2025年通期の売上高は前年比105.4%増の904億2760万ドン(約36億ドル、約5,335億円)と大幅に拡大した。第4四半期だけでも前年同期比約2.4倍の394億1,170万ドン(約15億7,000万ドル、約2,325億円)に達し、販売拡大が業績を押し上げた。EVの第4四半期販売は8万6,557台と前年同期比63%増、前四半期比では127%増と急伸した。

一方、収益面では依然として課題が残る。2025年通期の粗利益率はマイナス42.5%(前年マイナス57.4%)と改善したものの赤字が続いた。ただ、第4四半期はマイナス39.9%と前年同期(同79.1%)から大幅に改善しており、規模拡大とコスト構造の最適化が寄与したとみられる。

同社は電動二輪事業でも急成長を遂げており、2025年の電動スクーター・自転車の販売台数は約40万6,500台と前年比約5倍に拡大した。四輪と二輪を組み合わせたモビリティ戦略が奏功している。

事業面では、EVブランドを「VF(中・高価格帯)」「グリーン(商用)」「ラックホン(超高級)」の3本柱に再編し、商品戦略を明確化した。商用向けモデルの比率は第4四半期で約49%に達し、法人需要の取り込みも進む。海外展開も加速しており、四半期ベースで初めて海外販売比率が約18%に到達した。市場別では、ベトナム国内で約36%のシェアを確保し首位を維持。インドでは参入直後ながらEV登録ベースで第4位に浮上し、インドネシアで3位、フィリピンで2位と、東南アジア・新興国市場で存在感を高めている。

生産体制も拡張が進む。ベトナム国内2工場に加え、インドとインドネシアで新工場を稼働させ、年間最大60万台の生産能力を確保した。主力工場の稼働率向上とともに、AIやロボティクスを活用したスマート製造の導入により、生産性と品質の向上を図る。自動運転分野では、先進運転支援システム(ADAS)をレベル2+から将来的にレベル4へ引き上げる計画を掲げ、外部企業との連携を進める。ロボタクシー開発も視野に入れるが、当面は投資効率を重視した段階的展開とする。

トゥイ・レ会長は「2026年以降は規模拡大と単位コストの最適化が収益化の鍵になる」と述べ、海外生産能力の拡充や次世代車投入を通じて黒字化を目指す方針を示した。急成長を続けるビンファストは、新興EVメーカーの中でも販売規模を急速に拡大している。ただし巨額投資を伴うビジネスモデルからの脱却、すなわち「成長から収益へ」の転換が、次の経営課題として浮上している。(2026年3月17日)