• 2026-09-02

中国NIO、4〜6月69%増収 市場減速下で販売伸長

中国の電気自動車(EV)大手NIO(蔚来汽車)が1日発表した今年4〜6月期決算は、売上高が前年同期比69.1%増の321億3,690万元(約7,700億円)となった。販売台数は49.4%増の10万7,658台に拡大した。中国の新車需要が減速しEVを含めた価格競争が激しさを増すなか、販売を大幅に伸ばすとともに採算も改善した格好だ。

車両売上高は80.1%増の290億5,820万元(約6,960億円)。販売台数の伸びを大きく上回った。会社側は販売増に加え、商品構成の変化による平均販売価格の上昇が寄与したとしている。車両粗利益率は18.5%と前年同期の10.3%から8.2ポイント上昇。全社の粗利益率も10.0%から18.4%に高まった。粗利益は前年同期比3.1倍の59億650万元(約1,416億円)となった。

最終損益は5億2,800万元(約127億円)の赤字だったが、前年同期の49億9,480万元の赤字から大幅に改善した。株式報酬費用などを除いた調整後では、営業損益が2億690万元(約50億円)の黒字、最終損益も2,610万元(約6億円)の黒字となった。

中国では自動車需要そのものが減速する一方、新エネルギー車(NEV)の販売比率は上昇している。「ガソリン車からEVへの転換」と「自動車市場全体の需要減速」が同時に進み、EVメーカー間の競争は一段と激しくなっている。こうしたなかで、NIOは4〜6月期に10万7,658台を販売した。内訳は、高級EVの「NIO」ブランドが6万945台、ファミリー層を狙う「ONVO(楽道)」が2万9,124台、小型EVの「FIREFLY(萤火虫)」が1万7,589台だった。従来は高級EVを中心としてきたNIOだが、ONVOとFIREFLYを加えたことで顧客層を広げている。この3ブランド戦略が市場減速下での販売拡大を支えたといえる。

李斌(ウィリアム・リー)最高経営責任者(CEO)によると、NIOブランドは4〜6月期に中国の35万元超の乗用車市場で首位となった。大型SUV「ES8」に加え、旗艦SUV「ES9」は6、7月に50万元超の乗用車市場で販売首位となったという。一方、ONVOは20万〜30万元の大型SUV市場、FIREFLYは高級小型車市場で存在感を高めている。

中国では値下げ競争の長期化によって、販売台数を増やしても利益が伴わないメーカーが少なくない。そのなかでNIOが車両粗利益率を18.5%まで引き上げた意味は大きい。車両売上高が販売台数以上のペースで伸びたことも、値下げだけに頼った販売増ではないことを示す。高採算モデルの販売増と商品構成の改善が収益を押し上げた。

コスト削減も進んだ。研究開発費は前年同期比28.7%減の21億4490万元(約514億円)。組織の効率化による人件費削減などが寄与した。NIOはこれまで車両開発に加え、独自のバッテリー交換網などへの大型投資を続け、巨額の赤字が経営課題となってきた。今回、販売規模を拡大しながら調整後営業黒字を確保したことで、赤字体質からの脱却に向け一歩前進した格好だ。

販売の勢いは7〜9月期に入っても続いている。NIOの7月販売は3万5,934台、8月は3万5,836台。1〜8月累計では26万2,893台となり、創業以来の累計販売台数は126万485台に達した。NIOは7〜9月期の販売台数を10万8,000〜11万1,000台と予想、前年同期比24.0〜27.5%増を見込んでいる。売上高は332億8,500万〜340億5,100万元(約7,980億〜8,160億円)と、52.7〜56.2%の増収を予想している。

一時は事業存続も危惧されたNIOだが、今回の決算で収益性を改善し生き残りの道筋を示したといえる。とりわけ高級市場をNIO、より量販価格帯をONVO、小型車をFIREFLYでカバーする戦略が機能し始めた点は、中国EV市場で進むメーカーの選別を占ううえでも注目される。もっとも、会計基準(GAAP)ベースではなお最終赤字が残る。需要低迷が長期化するなか、18%台まで改善した車両粗利益率を維持し、安定的な黒字経営へ転換できるかが次の焦点となる。(2026年9月1日)