• 2026-06-05

英国5月の新車登録台数は前年同月比7.1%増の16万662台となり、新型コロナウイルス禍前の2019年以来、5月としては最高水準を記録した。英国自動車工業会(SMMT)が4日発表した。おう盛な個人需要がけん引した。電気自動車(BEV)販売も好調で、市場でのシェアは27.3%と4台に1台の割合に高まった。また、4位に中国・奇瑞のSUV「Jaecoo(ジェイク―)」がランクインした。

販売の内訳では、個人向けが前年同月比17.2%増の6万5,781台となり、市場全体の40.9%を占めた。メーカー各社が投入する新型車の選択肢拡大に加え、競争激化による販売インセンティブが購入意欲を押し上げた格好だ。法人フリート向け販売も1.8%増の9万1,765台と堅調で、市場全体の57.1%を占めた。一方、中小企業向け販売は18.8%減の3,116台にとどまった。全体ではコロナ禍以来の高い伸びを示したというものの、2019年5月の18万3,724台と比べると12.6%低い水準にとどまっている。

パワートレーン別では電動車へのシフトが一段と鮮明になった。バッテリーEV(BEV)の登録台数は34.2%増の4万3,931台となり、市場シェアは前年の21.8%から27.3%へ拡大し、2026年に入って最高のシェアを記録した。プラグインハイブリッド車(PHEV)も23.9%増の2万2,167台と好調で、シェアは13.8%に上昇した。一方、ガソリン車は7.1%減の6万6,223台、ディーゼル車は2.2%減の7,622台となり、市場シェアはそれぞれ41.2%、4.7%へ低下した。

EV販売拡大の背景には、メーカー各社による値引き競争の継続に加え、英国政府のEV購入支援策「Electric Car Grant」の効果もあるとみている。経済や地政学を巡る不透明感が高まるなか、燃料価格変動リスクを避けたい消費者の関心も高まっているという。

とはいえ、EV市場の拡大ペースは政府目標には届いていない。2026年1~5月累計のBEV比率は23.9%で、政府が定める2026年の目標値33%を大きく下回っている。英国政府は今週公表した第7次カーボンバジェットで、2030年までに新車市場の95%をEV化する構想を示したが、現行のZEV規制で定める80%(乗用車)をも大きく上回る水準だ。

SMMTのマイク・ホーズ最高経営責任者(CEO)は、「市場にはかつてないほど多くの選択肢が提供されており、5月の販売は力強い結果となった。しかしEV需要は現行目標にも届いておらず、政府が描く将来像との乖離は大きい」と指摘。「脱炭素化への長期的な方向性には賛同するが、競争力低下や産業空洞化を招くような移行であってはならない。市場実態に即した制度見直しが急務だ」と訴えた。

英国ではEV普及を後押しするためメーカー各社が利益を圧迫する販売奨励策を続けており、今後は政府による税制支援や充電インフラ投資の拡充が焦点となりそうだ。

■5月の車名別販売ランキング(カッコ内は販売台数)=①Ford Puma(4,019台)②Kia Sportage(3,439台)③Vauxhall Corsa(3,075台)④Jaecoo 7(3,027台)⑤Nissan Qashqai(2,859台)⑥Golf(2,637台)⑦MINI Cooper(2,605台)⑧Volkswagen Tiguan(2,395台)⑨Vauxhall Frontera(2,372台)⑩Hyundai Tucson(2,194台)(2026年6月5日)