
インドのタタ・モーターズとイタリアの商用車メーカー、イベコ・グループの統合が始動した。両社は3日、イタリア・トリノで共同記者会見を開き、商用車事業で新たなスタートを切ったと発表した。2025年7月の買収合意を経て、開発や調達、販売網などで連携を進める。両社によると、商用車メーカーで世界4位の規模となる。
世界130カ国超に展開、合算売上高は約3兆7000億円
今回発表した両社の合計販売台数は約59万台、合算売上高は約210億ユーロ(約3兆7,147億円)。130カ国以上で事業を展開し、27の生産拠点、25の研究開発拠点、約9,300の販売・サービス拠点を持つ。従業員数は7万3,000人を超える。両社は昨年7月30日に、タタによるイベコの買収合意を発表した。タタは子会社を通じ、イベコの全普通株式を対象とする現金での公開買い付け(TOB)を行う方針を示した。防衛事業を除くイベコの買収総額は約38億ユーロ(約6,722億円)とし、防衛事業の分離や関係当局の承認などを条件に、2026年上半期の取引完了を見込んでいた。
当時、イベコ取締役会は買収を全会一致で支持し、筆頭株主のエクソールも保有する約27%の普通株式をTOBに応募することで合意した。タタはイベコの完全子会社化と上場廃止を目指す方針を示す一方、トリノ本社やブランドを維持することなどでも合意していた。
2025年の買収合意経て連携、トリノ本社とブランドは維持
両社が統合で重視するのは、製品と販売地域の相互補完だ。タタはインドを中心に、アジア、中東、北アフリカなどの市場に強みを持ち、小型から大型の貨物車やバスを展開する。一方、イベコは欧州と中南米を主要市場とし、小・中・大型商用車や都市・都市間バスを手がける。イベコ傘下のFPTは、車両用に加え、産業機械、船舶、発電向けのパワートレイン技術を持つ。今後は両社の開発力や調達網、販売・サービス網を活用し、新技術の市場投入と販路拡大を進める。パワートレインでは、従来型の内燃機関から天然ガス、バッテリー電動、水素まで幅広い技術を対象とする。市場ごとの用途やインフラに応じた脱炭素化を進め、ソフトウエアやコネクテッド技術、製造技術でも知見を共有する。
イベコは引き続きトリノに本社を置き、ブランドや組織、生産基盤の独自性を保つ。タタはイベコの既存の事業戦略と投資計画を支援する。顧客契約や販売店・サプライヤーとの関係、保証、アフターサービス、系列金融サービスも従来どおり継続するとしている。
タタ・サンズ、タタ・モーターズ、イベコ・グループの会長を務めるN・チャンドラセカラン氏は、長期的な投資を進め、両社の技術や人材を双方向で活用する方針を説明した。タタ・モーターズのギリシュ・ワーグ社長兼最高経営責任者(CEO)は、開発や調達、販売網などの強みを組み合わせ、先進技術を搭載した製品をより迅速に、競争力のある形で顧客に届ける考えを示した。
(2026年11月3日)