• 2024-05-18

欧州業界、EU委員と『円卓会議』。グリーン転換政策で意見交換

欧州自動車工業会(ACEA)と欧州自動車部品工業会(CLEPA)は10日、欧州の主要自動車メーカーと自動車部品メーカーの経営トップ13人が、EUのヴォプケ・フークストラ気候行動担当委員と「自動車円卓会議」を開き、グリーン転換政策について話し合った、と発表した。シャルル・ミッシェル欧州理事会議長との会談も行われ、来週開催されるEU首脳会議を前に意見交換した。

両団体によると、欧州業界は地域での生産を維持し雇用と投資を維持したいとしながらも、資源や資金などを熾烈なグローバル競争「パーフェクト・ストーム」に直面していると指摘。欧州が競争力を強化し、自動車産業のグリーンおよびデジタルへの移行に向けたより強力なビジネスケースを構築する必要がある、と訴えた。

ルノー・グループCEOでもあるACEAのルカ・デ・メオ会長は、「EUの自動車メーカーは脱炭素化に強くコミットしており、電動化に2,500億ユーロ以上を投資している。欧州は、電気自動車の競争力と市場需要のための条件を整える必要がある。これには、充電や水素充填のインフラ、重要な原材料の十分な供給、金融へのアクセスの改善、市場インセンティブなどが含まれる。言い換えれば、総合的な産業戦略こそが、欧州のグリーンな野望を達成する鍵だ」と述べた。

CLEPAのマティアス・ツィンク会長(シェフラー社自動車技術部門CEO)は、 「欧州の自動車部品サプライヤーは、年間300億ユーロの研究開発投資と170万人の直接雇用により、技術革新と持続可能性を推進している。サプライヤーは、スマートで持続可能なモビリティ・ソリューションを市場に提供し、移行を実現する重要な存在だ。しかし、厳しい経済環境、EV普及の低迷、サプライチェーン内の利益の減少という状況の中で、移行に必要な資金を調達することが重要となっている。そのため、革新的な技術への投資、施設や労働力の変革のリスクを軽減するための枠組み条件を確保することが極めて重要である。欧州の競争力を維持するためには、規制の枠組みは野心的でありながら柔軟であり続けなければならない」と話した。

円卓会議では、欧州のトラック・バスメーカーと自動車部品メーカーの双方が、ゼロエミッションのトラック・バスを導入することが急務であると強調した。しかし、CO2削減目標を達成するためには、トラックに適した充電・給油ステーションの緻密なネットワークや、ゼロ・エミッション車のコスト平価を確保するための支援的な炭素価格設定の枠組みなどを課題視し、EU政策立案者にこれらの懸念に対処するための「野心的な行動を取るよう」求めている。(2024年4月11日)