
独フォルクスワーゲン(VW)は16日、電気自動車(EV)を電力網に接続し、蓄電池として活用する「V2G(Vehicle-to-Grid)」サービスを2026年第4四半期にドイツで開始する、と発表した。車両の充電にとどまらず、電力市場と連携させることで、顧客の充電コスト低減や収益機会の創出を狙う。
新サービスは、EV本体に加え専用アプリ、電力料金プラン、スマートメーター、双方向充電器などを組み合わせた統合型パッケージとして提供する。VWグループのエネルギー子会社である「Elli」が中核を担い、車両・インフラ・電力市場を一体で管理する。顧客は、車両バッテリーの余剰容量を電力市場に提供することで報酬を得られる仕組みだ。同社の試算によれば、年間最大700〜900ユーロの収益・コスト削減効果が見込まれる。将来的には充電コストをほぼゼロに近づけることも視野に入れる。
V2Gは、再生可能エネルギーの余剰電力を車両に蓄え、需要時に電力網へ戻す仕組みで、EVを「移動手段」から「エネルギー資産」へと位置付け直すものだ。欧州では2040年までに年間最大220億ユーロの電力システムコスト削減効果があるとの試算もある。技術面では、VWの電動車プラットフォーム「MEB」を採用した約100万台がすでに双方向充電に対応可能とされ、ソフトウエア更新により対象車種の拡大を進める。
自動車メーカー各社がEVの付加価値拡大を模索するなか、VWはエネルギー事業との垂直統合を強めることで、顧客接点と収益源の囲い込みを図る。V2Gはその中核施策と位置付けられ、モビリティと電力の融合が新たな競争軸となりつつある。(2026年4月16日)