• 2026-09-29

米、燃費基準を緩和 新車価格1300ドル引き下げを試算

米運輸省が公表した「Freedom Means Affordable Cars」燃費基準見直しの広報画像

米運輸省は28日、自動車メーカーに適用する企業平均燃費基準(CAFE)を緩和する最終規則を発表した。2031年型車の平均燃費の見通しは、従来基準の1ガロン当たり約50.4マイル(約21.4キロメートル/リットル)から34.9マイル(約14.8キロメートル/リットル)に下がる。これにより、トランプ政権は新車の平均価格が1300ドル下がるとの試算を強調した。デトロイト3などエンジン車を主力とするメーカーには商品計画の自由度が増す一方、テスラなど電気自動車(EV)専業メーカーは燃費クレジットの販売機会が縮小する可能性が出てきそうだ。

CAFEは、メーカーが販売する車両全体の平均燃費を規制する制度で、今回の見直しでも個々の車に一律の燃費値を求めるものではない。2031年型車の新たな見通しはバイデン前政権の基準を大きく下回るものの、運輸省が示した2024年型車の平均燃費30.1マイル(約12.8キロメートル/リットル)は上回り、燃費向上を求める姿勢は維持した格好だ。

トランプ政権は、前政権の厳しい基準がメーカーにEVの生産を事実上促し、車両価格を押し上げたと主張。今回の規則見直しによって、今後5年間で消費者の負担を計1,380億ドル減らせるとの試算も公表した。台当たり1,300ドルは規制変更による新車価格への平均的な効果の予測となる。

燃費基準が緩和されれば、エンジン車や大型SUV、ピックアップトラックの販売比率が高いメーカーは、車種構成に自由度が増すことになる。なかでも、ピックアップトラックを得意とする米既存メーカーなどには、商品計画や投資面で有利に働くとみられている。同時に、エンジンや変速機を供給する部品メーカーも、既存製品の需要を維持しやすくなると期待する声もある。一方、メーカー間でCAFE基準の達成分を売買する、これまでのクレジット制度が廃止されれば、EV専業メーカーは収入減につながる可能性がある。

米自動車専門誌『Autoweek』によると、自動車メーカーやサプライヤーで構成する自動車イノベーション同盟は、新基準が現在の市場に沿うものだと評価した。一方、消費者団体ナショナル・コンシューマーズ・リーグは、燃費基準の緩和によって購入後の燃料代が増えるおそれがあると批判している。新車価格への効果と、保有期間中の燃料費への影響を分けてみる必要がある、指摘されている。

今回の規則は2022~2031年型の乗用車と小型トラックを対象とする。メーカー間のCAFEクレジット取引は2028年型から廃止し、乗用車と小型トラックの区分方法は2030年型から変更する。運輸省が9月28日に公表した資料では、規則全体が法的に効力を持つ具体的な施行日は確認できない。なお、今回見直すのは米道路交通安全局(NHTSA)が所管する燃費基準だ。米環境保護庁(EPA)が所管する車両の温室効果ガス排出基準については、EPAが2026年2月に別の規則で撤廃を決めている。

(2026年9月29日)