
ボストン・ダイナミクスは、現代自動車グループの米国工場に人型ロボット「アトラス」を自動車製造の実作業に対応させる訓練・実証拠点を開設した、と発表した。部品の供給や組み立て順に合わせた仕分けなどから訓練を始め、2030年までに部品組み立てへ用途を広げたい考えだ。現代自グループは今後数年間で、現代自と起亜の世界の工場に人型ロボットとして最大規模となる2万5,000台を導入する計画だ。
9月21日に発表した。新拠点の名称は「ロボティクス・メタプラント・アプリケーション・センター(RMAC)」。米ジョージア州サバンナ近郊にある現代自グループの生産拠点「メタプラント・アメリカ(HMGMA)」内に設けた。今年1月の技術見本市「CES 2026」でのアトラス披露に続き、工場への導入に向けた訓練と検証を進める。
部品供給から組み立てへ、実環境で訓練
RMACでは、自動車製造の現場を想定した環境で、アトラスに部品の搬送準備や仕分けなどを訓練している。組み立て工程で必要になる順番に部品を並べ、正しい位置に配置する作業などが対象となる。
2030年までには部品組み立てにも用途を拡大する計画で、その後も反復動作や重量物の持ち上げなど、作業者の身体的負担が大きい仕事への対応を進める狙いだ。ロボットの動作能力を示す段階から、生産現場で求められる作業を継続して担えるようにする段階へ、開発を進める取り組みといえる。
ボストン・ダイナミクスの最高製品・技術責任者、ザック・ジャコウスキー氏は、アトラスの供給網、生産、試験、導入体制を整備する戦略を現代自グループと共有していると説明。ロボットによって作業の安全性と生産性を高める方針を示した。
現代自グループは工場への導入拡大に加え、米国に年間3万台のロボットを生産できる新施設を設ける計画も掲げている。今後数年間のアトラス2万5,000台導入は工場での使用計画であり、年間3万台は新施設の生産能力として示した数値となる。
2027年に施設を約10倍へ拡張
RMACは第1段階の施設が稼働しており、2027年にはHMGMA内の新しい建物に移転し、規模を現在の約10倍に拡大する予定だ。自動車工場への導入準備を続けながら、同年には他産業での用途探索も始める。
同社は四足歩行ロボット「スポット」や物流用ロボット「ストレッチ」の既存顧客と協議している。対象は製造業、航空宇宙、半導体、物流、食品・飲料、ライフサイエンスなどで、データ収集をはじめとする作業を通じ、アトラスの訓練範囲を広げる考えだ。
アトラスは開発中の電動人型ロボット。今回の拠点開設は本格導入に向けた準備であり、自動車製造の各工程で実用性を検証しながら、商用化と展開拡大につなげる。
(2026年9月30日)