
米フォード・モーターは29日、JPモルガン・チェース、ミシガン州などと、新技術を持つサプライヤーの事業化と量産を支援する官民連携の枠組み「ミシガンLIFT」を立ち上げた、と発表した。フォードは今後10年間で、参加企業から最大10億ドル(約1,570億円)規模の調達をめざす。JPモルガンも最大10億ドルの融資を目標に掲げ、製造業の需要と資金、州の支援を結びつけて米国内の供給網強化を図る狙いだ。
ミシガンLIFTには、フォードとJPモルガン、州政府に加え、イノベーション拠点のミシガン・セントラルと、事業化支援を担うニューラボが参加する。ミシガン州で生産拠点を新設、または増強する企業などを対象に、試作から量産への移行を支援する狙いだ。
メーカーの課題を公募、受注と資金をつなぐ
新たな枠組みでは、メーカーが抱える生産や供給網の課題を「オープンコール」として公募。解決策を持つサプライヤーが応募し、メーカーが採用の可能性を評価する。実用化に進む案件については、融資や州の経済開発支援、人材育成、量産化に必要なサービスなどを提供する仕組みだ。
フォードはその中心となる調達企業を務め、枠組みを通じて開拓した案件で10年間に最大10億ドルの取引をめざす。JPモルガンは資金提供を担い、参加サプライヤーへの融資を最大10億ドルまで拡大することを目標としている。いずれも確定した発注額や融資枠ではなく、各社の通常の取引先認定、調達、審査・承認手続きが適用される。
ミシガン州は州経済開発公社(MEDC)を通じて支援制度や資源を提供する。ミシガン・セントラルは約30エーカー(約12ヘクタール)の拠点で試験や量産化に向けた環境を提供し、ニューラボは2,000万ドル(約31億4,000万円)相当のサービスなどによる現物支援をめざす。
ロボット、電池、重要鉱物などを対象に
当初の対象分野は、ロボットと高度な製造自動化、原子力を含む先進エネルギー、半導体、蓄電池、次世代モビリティ、航空宇宙、推進システム、重要部品など。重要鉱物の採掘・加工・回収や、医薬品原料、医療機器などの製造も含む。
ミシガン・セントラル、ニューラボ、MEDCは2036年末までに、さらに10~20社の調達企業を呼び込み、これらの企業による年間需要の確約額を合計10億ドル超にまで拡大したい考えだ。調達企業はミシガン州に所在する必要はなく、幅広い産業から参加を募る。メーカーやサプライヤーは専用サイト「michiganlift.org」から応募できるとしている。
フォードのジム・ファーリー社長兼最高経営責任者(CEO)は、「製造現場の課題をより速く解決し、技術開発企業やサプライヤーが事業を拡大するための支援をつなぐ取り組みだ」と説明した。
枠組みの発足に合わせ、フォードの社会貢献部門とJPモルガンは、デトロイトの教育・職業訓練団体「フォーカス・ホープ」に計55万ドル(約8,640万円)の支援を発表した。製造技能、ロボット、溶接の訓練に加え、企業との連携や就職支援、受講者の交通支援を強化する方針だ。
(2026年9月30日)