
米現地報道によると、トヨタ自動車と日産自動車が、低粘度の合成エンジンオイル不足に備え、米国販売店向けに対応準備を進めていることが分かった。石油化学サプライチェーンの混乱を背景に、0W-8や0W-16といった超低粘度オイルの供給が逼迫しており、整備現場では代替油使用や在庫制限の可能性が浮上している。
0W-8など供給逼迫、ハイブリッド整備に影響も
業界メディアによると、両社は販売店向け内部通達で、低粘度合成油の供給制約に警戒を促した。これらのオイルは、燃費規制や排出ガス規制への対応を目的に、ハイブリッド車や高効率ガソリン車で広く採用されている。
トヨタは、供給元であるエクソンモービルが石油化学分野全体の供給混乱による生産課題に直面する可能性を指摘。日産も、「Mobil」「Mobil 1」ブランドを通じた供給網で潤滑油不足への懸念を認識しているという。現時点で小売市場での全面的な欠品は確認されていないものの、両社は在庫維持策として、一部車両で短期的に粘度がやや高い代替オイルを使用する可能性を販売店と協議している模様だ。
トヨタは、代替オイル使用はあくまで一時対応であり、恒久的な整備基準変更ではないと説明。一般的に現代エンジンは一定範囲内の粘度差であれば短期間の使用に耐えられるとされるが、燃費悪化やエンジン抵抗増加につながる可能性がある。供給不足の背景には、合成油製造に必要な特殊ベースオイル原料の不足があるという。日産の内部文書では、精製設備の混乱や地政学リスクによる石油化学供給網への影響が要因とされている。
日産は販売店向けに、オイル供給量が前年水準比55%程度に制限される可能性があると警告したとされる。特に0W-8を使用するハイブリッド車は影響を受けやすく、供給逼迫が長期化すれば、整備待ち時間の長期化や価格上昇につながる可能性もある。
近年の低粘度化は、各国の燃費・CO2規制強化を背景に加速している。一方で、専用オイルへの依存度が高まることで、潤滑油供給網の脆弱性が新たなリスクとして浮上した格好だ。(2026年5月20日)