
現代自動車と起亜は24日、遠紫外線(Far-UVC)を活用した車内向け衛生技術「プラズマ・ケアUVC」を開発した、と発表した。乗員が車内にいる状態でも細菌や臭気の原因となる微生物を除去できるとしており、自動運転車や送迎車、移動販売車、配送車など用途特化型モビリティでの活用を視野に入れた取り組みだ。
従来の紫外線殺菌は皮膚や目への悪影響が懸念されるため、密閉空間での利用に限られてきたという。これに対し、新技術は波長200~230ナノメートルのFar-UVCを採用。人体への浸透を抑えながら、細菌やウイルスのDNAを破壊し、高い殺菌効果を発揮する仕組みだ。微生物の増殖による臭気の低減にも寄与し、快適な車内環境の実現につながるとしている。
プラズマ光源で小型・高耐久化
両社は、自動車向けへの実装に向け、LEDでは発生が難しいFar-UVCを生成する専用プラズマランプを採用した。病院や学校向け設備よりも小型化と省電力化を進めるとともに、車両振動や温度変化など厳しい使用環境への耐久性を高めた。さらに、特殊な光学フィルターを組み込み、制御されたFar-UVC波長のみを放射する安全設計を導入。電子機器が密集し、乗員との距離が近い車室空間特有の課題に対応したとしている。
韓国試験研究院(KTL)による試験では、車室を模した8立方メートルの空間で30分間照射した結果、空気中のウイルスを96.8%低減した。ソウル大学との共同研究では、肺炎の原因菌に対し30秒で99.9%、60秒で完全除去を確認したとしている。また、韓国自動車技術研究院(KATECH)と共同で、キアの電動多目的車「PV5」を用いた実車試験を実施。大腸菌(E.coli)を40分間の照射で99.9%除去したという。
送迎車や移動販売車など新市場を開拓
両社は、子ども向けスクールシャトルや果物の移動販売車などを想定、新技術の活用可能性を紹介した。両社が推進するPBV(Purpose Built Vehicle)は、配送、送迎、移動店舗、医療、福祉など特定用途に最適化した電動車両群を指しており、衛生管理機能が差別化要素になるとみられる。とりわけ、自動運転時代には車両のシェア利用や長時間利用が増えると予想され、車内空間の清潔性や快適性が競争力の一つになる可能性が高い。両社は今後、国際安全基準に沿った追加検証を進め、量産車への搭載可能性を探る方針だ。(2026年6月25日)