
アメリカホンダは、高級車ブランド「アキュラ」の量産型コンセプトカー「Acura NEXERA Vision(アキュラ・ネクセラ・ビジョン)」を世界初公開した。ブランド創設40周年を機に内外装のデザイン言語を刷新。特長的な新しいライトシグネチャーなどを次世代モデルへ順次採用した。今後投入する4代目「RDXハイブリッド」を皮切りに同デザイン思想を量産車へ展開する方針だ。
ブランド40周年でデザイン刷新、新ライトシグネチャーを次世代車に採用
NEXERA Visionは米カリフォルニア州で開催中の「モントレー・カー・ウィーク」に合わせ、現地時間14日の「The Quail, A Motorsports Gathering」で世界初披露した。現地時間16日には「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」のコンセプトカー展示エリアにも出展する。
NEXERA Visionは、ロサンゼルスの「Acura Design California」がデザインを担当した。アキュラのクリエーティブディレクター兼オートデザイン担当副社長の土田康剛氏が指揮した。アキュラは1986年にホンダが北米で立ち上げた高級車ブランドで、2026年に40周年を迎えた。NEXERA Visionを単独のコンセプトカーにとどめず、今後のブランド全体に共通するデザインの出発点に位置づけている。
車体デザインは、幅広く低いスタンスと長いダッシュ・トゥ・アクスル、流れるようなキャビン形状が特長だ。左右のドアに2軸ヒンジ式のバタフライドアを採用。空力性能にも重点を置き、車体後部には走行状況に応じて空気の流れを制御するアクティブリアスポイラーを装備し、高速走行時の安定性や制動性能の向上につなげた。
足回りにはアキュラとして初めて22インチのセンターロック式ホイールを採用した。ホイールの奥にはブレンボ製カーボンセラミックブレーキを配置。フロントのエアロチャンネル、リアディフューザー、ロッカーパネルなどにはフォージドカーボンを使用した。

40周年を「次のアキュラ」の起点に
土田氏は「40周年を未来への跳躍台とし、NEXERA Visionを将来のアキュラ車のデザイン言語として活用する」と説明した。新たなデザインでは、均整の取れたプロポーションや立体的な造形、先進技術の融合によって、アキュラ独自のパフォーマンス表現をめざす。
NEXERA Visionでは、消灯時には車体表面に隠れ、点灯すると姿を現す「ファントムライティング」を採用した。超薄型のヘッドライトとテールライトはアキュラの「A」マークから着想したデザインとし、今後のアキュラ車をひと目で識別できる意匠として展開する。
新ライトデザイン、次期RDXから量産採用
新しいライトシグネチャーは、今後投入する4代目RDXハイブリッドから量産車に採用する。コンセプトカーで示した造形を主力SUVへ直接つなげることで、ブランド全体のデザインに一貫性を持たせる。室内はスポーツカーらしいドライバー中心のコックピットとしながら、開放感との両立を狙った。前席を床面に固定して着座位置を大幅に下げ、ドライバーの体格に合わせてペダルとステアリングを動かす方式を採用した。
内装は白と黒を基調にピンクをアクセントとして使用する。フォージドカーボンのほか、再生アルミニウム、使用済みポリエステルを再利用したアルカンターラ、循環型利用を意識した天然皮革「CircuLeather」などを取り入れた。アキュラは持続可能な素材を環境対応だけでなく、今後のプレミアムブランドに求められる品質や価値を構成する要素と位置付ける。

NEXERA Vision自体の量産計画は明らかにしていない。一方、新たなライトシグネチャーを次期RDXハイブリッドに採用することを明言しており、今回提示したデザイン思想を今後の市販車へ段階的に落とし込む方針だ。アキュラの米国ラインアップは現在、スポーツセダン「インテグラ」とSUVの「ADX」「RDX」「MDX」の4車種で構成する。2025年に米国で販売したアキュラ車の約85%を米国内で生産している。
ブランド創設40周年という節目に打ち出したNEXERA Visionは、次世代アキュラのデザインを予告する役割を担っている格好だ。新しい意匠を次期RDXをはじめとする量産車へ広げ、北米プレミアム市場でブランドの存在感を高められるかが焦点となりそうだ。(2026年8月16日)