• 2026-08-05

フォード、26年通期業績見通しを上方修正 調整後EBIT最大1.8兆円

フォードモーターは28日、今年通期の業績見通しを上方修正した。調整後EBIT(利払い・税引き前利益)を従来の85億~105億ドルから100億~110億ドル(約1兆6,340億~1兆7,970億円)に引き上げた。4~6月期は売上高が前年同期比4%減の483億ドル(約7兆8,920億円)だった一方、調整後EBITは17%増の25億ドル(約4,090億円)となった。EV(電気自動車)事業の赤字縮小や主力の内燃機関車・ハイブリッド車の収益改善などを背景に、通期の収益見通しを引き上げた。

2026年4~6月期の世界卸売台数は前年同期比12%減の103万9,000台だった。一部車種の生産終了やアルミニウムの供給制約、需要に合わせた第1世代EVの生産規模の適正化などが響いた。一方、販売車種構成の改善が売上高への影響を一部補った。売上高は4%減の483億ドル。調整後EBITは前年同期の21億ドルから25億ドルに増え、調整後EBITマージンは4.3%から5.2%へ0.9ポイント改善した。調整後1株利益は0.42ドルと、前年同期の0.37ドルを上回った。

純損益は13億2200万ドル(約2,160億円)の赤字となった。前年同期は2900万ドルの赤字だった。電池合弁会社ブルーオーバルSK(BOSK)の持ち分処分に伴い36億ドル(約5,880億円)の大半が非現金となる特別損失を計上したほか、2025年12月に発表したEVプログラム中止に伴う5億ドル(約820億円)の費用などが響いた。税引き前の特別損失は計42億ドル(約6,860億円)に上った。営業キャッシュフローは43億ドル(約7,030億円)、調整後フリーキャッシュフローは21億ドル(約3,430億円)だった。6月末時点の現金は223億ドル(約3兆6,440億円)、流動性は434億ドル(約7兆920億円)を確保した。

事業別では、内燃機関車とハイブリッド車を手掛ける「フォード・ブルー」の売上高が前年同期比1%増の261億ドル(約4兆2,650億円)、EBITは11億3,500万ドル(約1,850億円)となった。EBITは前年同期から4億7,400万ドル増加し、利益率も2.6%から4.4%に改善した。米国ではトラック事業で高い売上高シェアを確保したほか、オフロード仕様車がフォードの米国販売の約4分の1を占めた。トラックやオフロード車、ハイブリッド車など収益性の高い商品が業績を支えた。

商用車事業の「フォード・プロ」は売上高が5%減の178億ドル(約2兆9,090億円)、EBITは17億1,800万ドル(約2,810億円)だった。アルミニウム供給の制約からの回復途上にあり、EBITは前年同期から6億ドル減少した。EBITマージンは9.7%と、前年同期の12.3%から低下した。

EV事業の「フォード・モデルe」は売上高が56%減の10億ドル(約1,630億円)だった。EBITは9億1,900万ドル(約1,500億円)の赤字だったが、前年同期の13億2,900万ドルの赤字から4億1000万ドル改善した。前年同期比での損失縮小は3四半期連続となった。

金融子会社フォード・クレジットの税引き前利益は7億5700万ドル(約1240億円)と、前年同期から1億1200万ドル増加した。金融マージンや資産内容の改善が寄与した。

フォードは上期の業績を踏まえ、2026年通期の調整後EBIT見通しを従来の85億~105億ドルから100億~110億ドル(約1兆6340億~1兆7970億円)に引き上げた。調整後フリーキャッシュフローも従来の50億~60億ドルから60億~70億ドル(約9,800億~1兆1,440億円)へ上方修正した。設備投資は95億~105億ドル(約1兆5,520億~1兆7,160億円)とする従来予想を据え置いた。

事業別の通期EBIT見通しでは、フォード・ブルーを従来の45億~50億ドルから50億~55億ドル(約8,170億~8,990億円)へ引き上げた。フォード・プロは65億~75億ドルから70億~75億ドル(約1兆1,440億~1兆2,260億円)へ下限を引き上げた。モデルeは約40億ドル(約6,540億円)のEBIT赤字を見込む。従来予想は40億~45億ドルの赤字で、損失見通しを縮小した。ただ、次世代の低コストEV戦略を担う「ユニバーサルEV(UEV)プラットフォーム」とエネルギー事業「フォード・エナジー」に約10億ドル(約1,630億円)を追加投資する。投資は主に下期に集中する。フォード・クレジットの税引き前利益は25億ドル(約4090億円)超を見込み、従来の約25億ドルから上方修正した。

フォードは通期で材料費や保証関連費用を約10億ドル削減する計画を維持する。一方、UEVプラットフォームとフォード・エナジーには約10億ドルを投じる。アルミニウム供給問題の前年同期比での影響についても、通期で約10億ドルの増益要因になると見込んでおり、その効果は下期に集中する。米国の2026年新車販売については年率換算1,600万~1,650万台を前提とし、業界全体の実質的な販売価格は年間で約0.5%上昇すると想定している。

ジム・ファーリー最高経営責任者(CEO)は、トラックやオフロード車、ハイブリッド車が高い価格決定力を持つと指摘。コスト削減と既存事業の収益力強化を進める一方、次世代EVやエネルギー事業に資金を振り向けることで、収益基盤の転換を進める姿勢を示した。(2026年7月29日)