
独フォルクスワーゲン(VW)グループは28日、電池子会社パワーコと中国の電池大手、国軒高科(ゴーション・ハイテック)が提携を拡大すると発表した。スペイン、スロバキア、モロッコの3拠点に合弁会社を設け、電気自動車(EV)向けのリン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池と、その材料を生産する。比較的低コストの電池を地域内で調達する体制を整え、欧州向けEVの価格競争力を高める狙いだ。
スペインのバレンシアでは、パワーコが建設中の電池工場を合弁会社に移す計画だ。パワーコが51%を出資して過半を維持し、VWグループが複数の車種に採用する共通規格のLFP電池セルの生産拠点に育てる。国軒高科は49%の取得に約11億ユーロ(約1,964億円)を投じる予定で、すでに発表した工場投資や雇用計画は維持するとしている。
スロバキアのシュラニでは、国軒高科の電池工場を合弁会社に移し、EVと定置用蓄電システム向けのLFP電池セルを生産する。モロッコのケニトラには、LFP電池の正極材を生産する新工場を計画する。両社が共同で経営し、シュラニとケニトラでは国軒高科がそれぞれ51%を保有する。パワーコは両拠点の49%を取得するため、2030年までに合計約4億7,000万ユーロ(約839億円)を拠出する見通しだ。
低価格EV向けの電池供給を強化
LFP電池はコストや耐久性の面に強みがあり、VWグループは量販EVの価格を抑えるうえで重要とみている。同社は欧州におけるLFP電池の市場シェアについて、現在の約10%から2030年には40~60%に高まる可能性があるという。今回の提携で、電池セルだけでなくその正極材まで生産対象を広げるのがポイントだ。欧州向けの供給網に複数の生産拠点と材料の調達先を確保し、電池供給の安定性を高める狙いだ。両社は2020年から協力しており、国軒高科はVWグループへ電池セル供給している。今回の3件の合弁計画は、規制当局の承認や国軒高科の株主総会での承認などを経て正式決定する。
また、VWグループは保有する国軒高科株の5.3%分を売却する契約も結んだ。売却後も戦略投資として相当の持ち分を維持し、これまで行使してきた議決権や取締役候補の指名権に変更はないという。株式の一部売却と並行して、電池事業では合弁会社を通じた協力を深める形だ。
関連記事
VW、全固体電池量産化へ。次世代電池競争の激化も――パワーコーの別の電池技術を巡る取り組み。
CATL、ドイツとハンガリーでバッテリー生産計画を発表――中国の電池メーカーによる欧州でのLFP電池生産。
(2026年9月29日)