• 2026-10-30

ルノー、1~9月期売上高7.1%増の約7.5兆円 EV拡大と金融事業が支え、通期見通し維持

ルノー・グループ(Renault Group)の会社ロゴ

ルノー・グループの今年1~9月期の売上高は、前年同期比7.1%増の418億4,800万ユーロ(約7兆4,602億円)となった。世界販売台数は同2.2%減の1,662,222台だったが、商品構成の改善や提携先向け事業、販売金融事業の拡大が売上高を支えた。直近の7~9月期も販売台数が減少する中で増収を確保し、2026年通期の業績見通しを維持した。

EV販売と提携先向け事業が減販を補う

現地時間の29日に発表した。1~9月期の自動車事業売上高は前年同期比6.6%増の366億4,100万ユーロ(約6兆5,320億円)、販売金融を担うモビライズ・ファイナンシャル・サービシズ(MFS)は同11.0%増の52億700万ユーロ(約9,283億円)だった。為替変動の影響を除くグループ売上高の伸び率は7.6%となった。

7~9月期のグループ売上高は前年同期比1.5%増の115億9,600万ユーロ(約2兆672億円)。自動車事業は前年並みの98億3,500万ユーロ(約1兆7,533億円)となり、MFSは同11.0%増の17億6,100万ユーロ(約3,139億円)だった。MFSは金利上昇と平均稼働資産の拡大が増収につながった。一方、世界販売台数は同6.0%減の497,799台となった。

自動車事業では、販売台数の減少が売上高の増減率を5.9ポイント押し下げたものの、提携先向け売り上げが4.9ポイント、商品構成が2.3ポイント、価格が1.1ポイント、それぞれ押し上げた。提携先向けでは、ブラジルでの吉利との協業による販売拡大と9月の生産開始、インドのルノー日産インディアの連結効果が寄与した。商品構成では、新旧「クリオ」の切り替えや「マスター」「トラフィック」などの商用車、電気自動車(EV)の販売が支えとなった。

欧州の乗用車市場ではEV販売が急増した。グループの7~9月期EV販売は前年同期比84.7%増となり、乗用車販売に占める比率は12.2ポイント上昇の25.8%に達した。ハイブリッド車(HEV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)を含む電動車比率は54.9%となった。欧州の個人向け乗用車販売も同5.0%増え、構成比は64.8%に上昇した。一方、短期レンタルやデモ車向け販売は18.0%減らした。ブランド別の1~9月期販売は、ルノーが前年同期比1.1%増の1,178,946台、ダチアが同9.7%減の471,007台、アルピーヌが同65.6%増の12,269台だった。ルノーは欧州の電動車と小型商用車が支え、アルピーヌは「A290」が成長をけん引した。ダチアは欧州のEV需要拡大に加え、商品・パワートレインの切り替え期にあったことが響いた。

通期見通しは、グループ営業利益率が約5.5%、自動車事業のフリーキャッシュフローが約10億ユーロ(約1,783億円)を据え置いた。下期の利益率は上期から小幅改善を見込むものの、原材料費の上昇やインフレにより、例年のような季節的な改善は限定的になるとしている。今回の発表は売上高と販売実績が中心で、7~9月期の営業利益や純利益は示していない。

減販下でも売上高を維持、問われる利益への転換

ルノーは販売台数の落ち込みを商品構成や販路、提携事業で補う事業運営に注力している。1~9月期は販売台数が2.2%減る一方、売上高は7.1%増えた。7~9月期も販売台数が6.0%減少しながら、自動車事業の売上高を前年並みに維持した。こうした台数を追うんぉではなく、販売の中身を改善する取り組みが一定の成果を示した形だ。

なかでお、欧州のEV需要への対応はその典型例といえる。グループの欧州乗用車販売に占めるEV比率は1~9月累計の20.9%に対し、7~9月期は25.8%まで高まった。ルノーブランドのEVとハイブリッド車を組み合わせた商品展開が、需要の変化を取り込んでいるといえる。個人向け販売の比率上昇と短期レンタル向けなどの削減も、販売価格や中古車残存価値を維持するうえで効果的とみられている。しかし、足元の増収率には鈍化も見られる。グループ売上高の伸びは1~9月累計の7.1%に対し、7~9月期は1.5%にとどまった。ブランド間の差も大きく、ルノーとアルピーヌが伸びる一方、ダチアの減販が重荷となっている。アルピーヌは高成長を続けるものの、販売規模はなお小さく、グループ全体の台数回復にはダチアの立て直しが重要になりそうだ。

また、自動車事業の売上高維持には、商品構成の改善に加えて提携先向け売り上げや連結範囲の変化も寄与している。増収をそのまま既存事業の収益力向上とはいえず、今後はダチアの新型車投入を販売回復につなげながら、EV拡大と販路改善の成果を営業利益やキャッシュ創出に結び付けられるかが焦点となりそうだ。

(2026年10月30日)