
ベトナムの電気自動車(EV)メーカー、ビンファストは6日、インドネシアの輸送サービス企業2社と、最大2万台のEV供給に関する覚書(MOU)を締結した、と発表した。2027~2028年にかけて商用輸送向けに車両を供給する計画で、東南アジアにおける同社のEVエコシステム拡大戦略を加速させる狙いだ。
商用輸送向けにEV導入、2社で計2万台
ビンファストは、輸送ソリューション企業のPTセンビラン・ブヌア・アバディが2027年末までに1万台、PTサトゥ・コソン・トゥジュが2028年末までに1万台のEVを導入する予定だ。導入車両はCセグメントSUV「Nerio Green」と7人乗りMPV「Limo Green」で、いずれも商用輸送サービスで利用する。
両モデルはビンファストが商用サービス向けに展開する「Green」ブランドに属する車種で、都市型デザインや広い室内空間、先進技術が特長という。とくに「Limo Green」は全長4,740ミリの3列シート構成を採用し、LFP(リン酸鉄リチウム)電池を搭載。満充電で最大450キロメートルの航続距離を確保し、車両稼働率の向上を図るとしている。
東南アジアEV戦略の中核市場に
今回の覚書締結で、両社は車両運用効率の向上や排出削減を進めるとともに、一般利用者が日常的にEVに接する機会を増やすことで、インドネシア国内の電動化の浸透につなげる考えだ。ビンファストのインドネシア法人トップであるカリヤント・ハルジョスエマルトCEOは「現地市場への理解が深い企業と連携することで、市場カバレッジを迅速に拡大し、EVの普及を加速できる」と話している。
ビンファストは、インドネシア進出から2年余りでエントリーから中高価格帯までのEVラインアップ(VF3、VF5、VF e34、VF6、VF7など)を展開。さらに西ジャワ州スバン工場の稼働を開始し、販売網やアフターサービス体制、充電インフラの整備も進めている。銀行との提携による金融支援や保証制度の拡充などを通じ、東南アジア最大の自動車市場の一つであるインドネシアでEV普及を本格化させる方針だ。
東南アジアEV市場で存在感高める
今回の大型商用EV導入は、急速に拡大する東南アジアの電動モビリティ市場において、ビンファストが存在感を高める動きとして注目される。商用フリートを軸にEV普及を進める戦略は、インフラ整備や市場浸透を同時に進める手法として、同地域の電動化のモデルケースとなる可能性もある。(2026年3月9日)